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中国語で予約100施設に、人間ドック紹介サイトのマーソ、日本の学会と提携、来年には500に(つかむインバウンド消費)

2016.03.01

 人間ドック予約サイトのマーソ(東京・港)は中国からの集客に力を入れる。中国語のサイトで予約できる施設を年内に現在の5倍にあたる100に増やす。全国の人間ドックの施設を評価する日本人間ドック学会(東京・千代田)と提携し、施設を選ぶ参考にしてもらう。訪日中国人の関心がモノからコト消費へ移る中、人間ドックの需要を喚起する。
 マーソは700の医療機関と提携する人間ドックの予約サイトを運営している。中国からの集客に注力しており、1月に中国語のサイトを立ち上げた。現在、20施設を取り扱っている。
 訪日客向けの価格は30万~40万円ほどで、通常日本人が受ける料金の1・5~2倍。がんの早期発見に有用とされるPET(陽電子放射断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)、血液検査など内容は通常メニューと変わらないが、通訳や送迎、検診結果の報告書の翻訳などが含まれている。
 中国サイトの開設に先立ち、中国最大の旅行サイトのシートリップと提携して同サイト内に特設ページを設けた。日本の人間ドックは精度やサービスの質が高いと海外で評判で、50~60歳代の富裕層を中心に月200人ほどがマーソの予約サイトを通じて人間ドックを受診するという。
 コト消費の一環として観光で日本を訪れたついでに人間ドックを受診する中国人が増えると予想している。中国サイトで予約できる施設を年中に100に、来年には500施設まで増やす。
 サイトの信頼性を高めるため、今月24日には日本人間ドック学会と提携した。同学会は専門医らが医療施設を104項目で審査し、すべての条件を満たした場合「認定施設」としている。現在340施設が認定されており、このうち54施設がマーソのサイトから予約ができる。
 日本の消費者は職場や自宅からの近さや価格、メディア情報をもとに施設を選ぶ場合が多い。だが、「日本に土地勘がなくて情報収集も難しい訪日客の場合は、こうした公的機関の評価が選ぶ際に貴重な目安になる」(マーソの山口博道社長)とみている。
 マーソは2015年2月の設立。提携施設で使える人間ドックのギフト券を母の日の贈り物として販売したり、共通ポイントの「Tポイント」を導入したりプロモーションを積極的に展開している。これまでに10万人ほどが利用した。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/02/26,ページ:6