CS新時代/中部電力-ウェブで個人顧客と接点
2016.11.08
4月に始まった電力小売りの全面自由化。中部電力は家庭向けのウェブサービス「カテエネ」を通じ、これまで接点が少なかった個人顧客との結びつきを強化している。
2017年にガス小売りの全面自由化も予定される中、ウェブサービスのポイントを電気料金に充当するなどの取り組みを進め、顧客満足度(CS)の高いサービスを目指す。
「お客さまの声はだれでも見られるようになっている」(大谷真哉事業戦略室長)。同社はカテエネを、家庭のニーズを吸い上げる「双方向サイト」と位置付ける。
電力自由化を機に、カテエネのページを刷新。カテエネのコラム記事を読むなどしてたまったポイントを電気料金に充当したり、他社のポイントサービスと交換したりできるようにした。
大谷室長は「ポイント使用先の半分は電気料金の充当」と話す。中部電力管内では10月中旬時点で新料金メニューへの移行は約96万件に上る。
一方、4月に参入した首都圏での電力販売は中期目標の10万件の契約に対し、10月下旬時点で約2万1000件と振るわない。同社は首都圏の販売テコ入れに向け、8月から料金単価を引き下げ、契約容量30アンぺアや40アンぺアの電力使用量の少ない家庭向けにも電力販売を始めた。勝野哲社長は「好評という手応えがある。販売目標の達成に尽力する」と意気込む。
17年4月のガス小売りの全面自由化を控え、中部電力もこのほど正式に家庭向けガス販売への参入を表明した。10月1日には家庭向けのガス販売や保安を担う約20人の部署を設置。5年間で20万件の契約の獲得を目標に掲げている。
電力、ガス小売りの全面自由化でエネルギー企業の垣根はなくなり、同じ土俵で戦うライバルとなる。大谷室長は「いよいよ本番。『分かりやすさ』をどうつくるかが重要」と話す。生活に関わるサービスを充実し、自由化時代の激しい競争を勝ち抜く考えだ。
日刊工業新聞,2016/11/04,ページ:4