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楽天、駐車場シェアに参入、球場や旅行サイトに情報、年内に。

2016.09.20

 楽天は年内にも駐車場のシェアリング(共有)サービスを始める。ビルや住宅のオーナーが空いている駐車スペースを1時間単位の貸し出しでサイトに掲載。買い物や営業活動に使いたい人がスマートフォン(スマホ)で簡単に予約できるように仲介する。球場や旅行など楽天グループのサービスと連携する。
 シェアリングサービス「ラクパ」はスマホとパソコンから利用できる。駐車場を貸したい人は駐車場名や写真、貸し出し日時、料金などをサイトに登録する。利用者はサイトの地図を使い登録された駐車場を検索。車のナンバーや車種などを登録し決済する。楽天の会員IDを取得する際にクレジットカード情報を記録し簡単に決済できる。楽天の共通ポイントの支払いも選択できるようにする。貸出人は成約すると料金の35%を楽天に支払う。
 当初は、駐車場のオーナーが貸し出せる回数は1日1回で始める。予定利用時間を過ぎても駐車していると、次に予約している人とトラブルになる可能性があるため。利用者は別の駐車場であれば何回でも利用できる。
 駐車場のオーナーにとってはコインパーキングなどのような機械設備が必要ないため初期費用や管理会社などに支払う費用も不要。集金は楽天が代行しクレジットカードによる事前決済なので確実に料金が回収できる。利用者にとっては、コインパーキングのように駐車場を実際に探す必要がなく、24時間いつでもスマホで探して予約しておけるメリットがある。
 楽天は他のサービスとも連携する。例えばプロ野球の試合で「楽天Koboスタジアム宮城」(仙台市)周辺の駐車場情報を球団の関連サイトに再掲、「ラクパ」に接続してもらう。旅行サイトの楽天トラベルではホテルや観光地周辺の駐車場情報を提供することもできる。5年で駐車場数10万件を目指す。
 楽天の2016年1~6月期の連結業績(国際会計基準)は営業利益が前年同期比12%減の487億円と減益に転じた。主力のインターネット通販「楽天市場」が伸び悩んでいる。約70あるサービスの中でネットオークションや、ゲームなどのアプリサイトを終了する一方で、スマホを使った個人間のフリーマーケット運営企業を買収するなど、重点事業の見直しを進めている。駐車場シェア事業を新たに加え連携させることでグループ全体の収益力を高める。
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/09/19,ページ:5