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3COINS天王寺MIOプラザ館店――市場風、商品見やすく陳列、訪日客需要も取り込み(めざせダントツ店)

2016.09.05

 若者向け衣料・雑貨店のパルが展開する300円均一雑貨店「3COINS(スリーコインズ)天王寺MIOプラザ館店」(大阪市)はマルシェ(市場)のような売り場作りが特徴で注目を集めている。入り口付近にマルシェをイメージして商品を見やすく陳列。最近では低価格で高品質な雑貨品を求める訪日外国人の来店も増えており、販売を伸ばしている。
 JR天王寺駅直結の商業施設「天王寺MIOプラザ館」の2階。衣料・雑貨店や旅行会社のカウンターなどが立ち並ぶ一角に「スリーコインズ」はある。売り場面積は約152平方メートルの大型店舗だ。生活雑貨品に加えて、アクセサリーや服飾雑貨など1千点以上をそろえる。中心価格は税別300円だが税別150~1千円の商品も扱う。来客数は平日が約2300人、土日が約3千人。
 商品を選びやすくする目的で2012年から採用しているのがフランス語で市場を意味する「マルシェ」をイメージした売り場だ。瀧山佳奈子店長は「商品を探すのも一つの楽しみだが、きれいに並べて取りやすくすることが求められている」と話す。
 入り口付近のマルシェには売れ筋商品のほか、季節商品をそろえて消費者の目を引く。8月末からは食欲の秋に向けて弁当箱やペットボトルのケースなどを陳列。リピーターを飽きさせない工夫も凝らす。目立つマルシェの商品は週に1回、新商品に入れ替える。天王寺MIOのポイントカードが使えるため、リピーターが他店に比べて多いという。
 大型店舗のため、消費者の声に応えた幅広い品ぞろえを実現している。これまで2足で税別300円だった靴下は「1足でも売ってほしい」という声が多く、1足税別150円も用意した。
 「隣が旅行会社のカウンターなので、旅行用品を店の前に並べている」(瀧山店長)。旅行を計画する顧客を囲い込むため、飛行機内で使用するアイマスクやパスポートケース、衣類の収納袋などを通りすがりでも目に入る位置に並べている。
 客層は10~60代までと幅広いが、昨年から訪日客の来店も増えており売り上げを押し上げている。「中国客が一番多い」(瀧山店長)といい、客単価は日本人客が700円なのに対して、中国客は1万円。特に人気なのは日本製の靴下や箸などの食器だ。最近では洗濯ネットが売れており「長期滞在者も増えており、日本で洗濯をする」(瀧山店長)と指摘する。
 低価格で品ぞろえが豊富な点が評価されているほか、近くには日本一の高さの高層ビル「あべのハルカス」があるため集客力につながっている。訪日客需要を取り込むため、中国人客が決済に使う「銀聯カード」に対応し、レジでの免税手続きもできるようにした。
 パルの16年3~5月期の連結決算では雑貨事業の売上高が77億円と前年同期比16%増えた。収益の柱であるスリーコインズは天王寺MIOプラザ館店のように顧客の声を反映した品ぞろえと、訪日客のつなぎとめが必要だ。(加藤彰介)
 
 日経MJ(流通新聞),2016/09/05,ページ:5