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コープネット、アマゾンなどに対抗――生協、スマホ世代に照準、賞味期限知らせるアプリ(ITこう使う)

2016.05.16

 関東信越にある6生協からなる日本最大の生協グループ、コープネット事業連合(さいたま市)がインターネットやスマートフォン(スマホ)アプリの活用を進めている。スーパーがネット販売に進出し、生協の主力事業である宅配は堅調だが競合環境は厳しい。利便性や楽しさを充実させ顧客満足の向上で囲い込みを狙う。
 毎週月曜の朝5時前、生協の組合員はパソコンの前やスマホを手に待機する。目当てはコープネットのネット注文サイト「eフレンズ」限定のタイムセールだ。目玉は予備的に入荷して余った農産品の詰め合わせ「もったいないセット」(税抜き500円)。一瞬で売り切れ、画面には「好評につき完売致しました」との表示が現れた。
 生協では紙のカタログから商品を選んで番号を発注書に記入し配達者に手渡すのが一般的だが、コープネットは2001年からeフレンズを展開している。狙いは若年層の取り込みだ。
 ネット通販感覚で簡単に作業でき、注文用紙の出し忘れ防止や注文内容の確認・修正ができる。商品ごとに組合員の口コミも見られるほか、紙のカタログに載せない限定品も用意。「注目商品はいつも数秒で売り切れる」(同連合)という。
 若い世代の組合員にとって、注文書よりも利便性が高く買い物の楽しみもある。現在では週に23万人が利用している。
 14年8月にはコミュニティーサイト「コープデリシェ」を立ち上げた。組合員が交流するだけでなく、意見を商品開発や改善につなげている。「サンプルラボ」コーナーでは、組合員が試した商品の感想やアイデアなどを投稿。「さっと使えて便利。お弁当作りに活躍」「炊き込みご飯にいれ、残った物はけんちん汁に」などコメントが何十件も寄せられる。
 スマホアプリにも力を入れる。15年6月に提供を始めた「ほぺたんポータルアプリ」は食生活をサポートする機能を盛り込んだ。例えば「冷蔵庫チェッカー」は宅配や店舗での買い物内容を自動的に登録する。組合員のIDやポイントカードで購入商品や金額を判別し登録する仕組みだ。
 冷蔵庫にどんな食材があるかスマホで確認できるため、同じ商品の2度買いを防げる。賞味期限も自動的に登録され期限が迫ると画面上で注意喚起され、使った食材は自分で削除していく。メモ機能もあり食材の買い忘れ防止にも役立つ。
「レシピ検索」機能では冷蔵庫チェッカーと連携し、数千のレシピから在庫する食材を使う料理を検索できる。「かんたん家計簿サービス」でも買い物内容が自動的に家計簿に反映される。アプリは累計で約2万9千件ダウンロードされている。
 15年3月時点の組合員数は438万人と年々増加している。伸びの大半を家庭を持ち始めた若年世帯が占める。同連合は「スマホの所有率が高く日常生活に入り込んでいる世代。スマホから生協にアクセスしてもらいたい」と注文サイトやアプリ拡充の狙いを語る。組合員の声を生かした、密度の濃い取り組みが今後も求められそうだ。
 
 
 日経産業新聞,2016/05/13,ページ:7