イオンが「ワオン」を共通ポイントに、提携先を幅広く、購買情報を店づくりに活用。
2016.04.11
イオンは共通ポイント(3面きょうのことば)事業に6月にも参入する。自社の電子マネーで決済したときにたまる「WAON(ワオン)ポイント」を他社に開放、グループ外の他の小売店で現金で買い物しても付くようにする。3年後に約6千万人の会員を目指す。幅広い業種や年代、地域を対象とし、これまで獲得できていなかった顧客の購買情報を活用することで店舗やサービスの魅力向上につなげる。
従来の電子マネー機能付きの「ワオンカード」と別に、ポイント機能だけの「ワオンポイントカード」を作る。原則200円の買い物で1ポイントがたまるようにする。電子マネー「ワオン」を使う優良顧客などにはポイントを加算する仕組みを導入し、電子マネーの利用者数も増やす。
スーパーやコンビニエンスストアのほか、ポイント交換で提携している日本航空、電力会社、外食店など幅広い業種で加盟店を開拓する。全国に約140ある大型ショッピングセンター(SC)内のテナントにも加盟を呼びかける。
グループでは60種弱のポイントカードを発行しているが、移行期間を設けた上でワオンポイントに一本化、グループ内の他のポイントをためている顧客も取り込む。
イオンはグループで小売店のほか、金融や冠婚葬祭、旅行、介護、保育など幅広いサービスを手掛ける。多様な事業を抱えていることを強みに生活のあらゆる場面でポイントをためられる利便性を打ち出す。他の共通ポイントのように同じ商圏で「1業種1社」といった加盟店の制限は設けないため、より幅広く利用できる可能性がある。
データ分析にも活用する。ポイントカードを利用した購買データや会員の属性情報を収集、個人情報がわからないように加工して、商品開発や売り場づくりに活用する。加盟企業にも提供する。
共通ポイントはカルチュア・コンビニエンス・クラブ系のTポイント・ジャパンが発行する「Tポイント」や、三菱商事系のロイヤリティマーケティングの「Ponta」が先行する。ネットに顧客基盤を持つ楽天も「楽天スーパーポイント」で実店舗開拓を進めている。
イオンは現在、グループのポイントカードを実際に使っている人数を約3千万人としている。単純比較できないが、共通ポイントで先行するTポイントの会員は約5700万人。イオンは新たな仕組みの導入で会員を倍増させ、ポイントやデータ分析の精度を上げる。
日本経済新聞 朝刊,2016/04/09,ページ:1