共通ポイント4強時代―未加盟社争奪激しく(デジタル図鑑)
2016.04.04
業種をまたいで幅広く使える「共通ポイント」に2015年12月、NTTドコモが参入して4強時代に突入した。当面は加盟企業の取り合いが続く。だが各陣営を主導する企業は、ポイント導入効果が薄いと感じる企業の脱退リスクも感じ始めている。
共通ポイントは00年代初めに登場し、顧客開拓の効果を期待する企業が集まってじわじわと広がってきた。
老舗はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」で、過去1年間に利用した会員数は約5700万人。今年2月からは吉野家でも使えるようになった。楽天の「楽天スーパーポイント」、三菱商事系の「Ponta(ポンタ)」に加え、参入したのがNTTドコモの「dポイント」だ。
共通ポイントの仕組みはこうだ。企業がどこかの陣営に入って加盟店になると、消費者にポイントを発行する。同時に、ポイントと同等価値の現金を管理会社に納める。消費者が別の加盟店でポイントを使うと、管理会社が同等価値の現金を払い戻す。
共通ポイントを巡っては従来、一陣営で囲える企業は「1業種1社」というとらえ方があった。CCCの増田宗昭社長は「企業は競争しているので、どこでも入れるようにすると誰も入ってくれない」と話す。だが東京電力ホールディングスは電力小売りの全面自由化をみすえ、複数の共通ポイントを採用した。今後、1業種1社の原則が崩れるかもしれない。そうなれば陣営による囲い込みの余地が大きくなる。
企業が脱退したり、陣営をくら替えしたりする可能性もある。居酒屋「和民」などのワタミは15年夏、業績が低迷し、グループの外食店でポンタの利用をやめた。ポイントの導入には運営会社へのシステム利用料などの支払いが必要だ。
加えて、管理会社に現金を払っても消費者が自分の店に来なければ、現金を払うだけという事態になりかねない。
野村総合研究所によると、家電量販店や携帯電話など国内11業界のポイントとマイレージの発行額は20年度に1兆円を超えると見込む。加盟する企業や店舗の数こそが共通ポイントの競争力となるため、NTTドコモの参入で当面は、小売りや外食など未加盟企業の開拓競争が強まる。同時に、陣営の販促策を充実させて加盟のうまみを作っていくことも必要になる。
日経産業新聞,2016/04/04,ページ:6