家電、ポイント「税込み」に、ヨドバシやビック、集客優先、外食は対象縮小も(消費税8%)
2014.04.01
ヨドバシカメラなど家電量販大手は、4月の消費増税後も税込みの総額を対象にポイントを付与することを決めた。負担は増えるが、消費者のポイントへの魅力を維持し集客につなげる。一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や外食企業では本体のみに付与対象を絞る動きも相次ぐ。集客優先か負担減かで小売り・外食企業の対応が分かれてきた。
家電量販店ではヨドバシカメラのほか、ビックカメラも引き続き総額を対象にすることでポイントの付与を増やす。例えば本体価格50万円の薄型テレビをポイント還元率10%で買う場合、従来なら52万5千円の総額に対し、5万2500円分のポイントがもらえたが、8%への増税後は5万4000円分に増える。
本体のみを対象にするとポイント負担は5万円分に減るため変更も検討していた。増税後の消費落ち込みを考慮し、付与基準は総額を維持する。
一方、本体のみに絞る動きも広がる。CCCはDVDレンタル・販売の「TSUTAYA(ツタヤ)」でこれまで200円の買い物に1円相当のポイントを付けてきた。4月以降は税別を基準にし、1円相当のポイントを得るには216円の買い物が必要になる。
外食では100円の購入で1円相当のポイントを付けていたのを108円ごとに1ポイントに減らす日本ケンタッキー・フライド・チキンのような変更が目立つ。
買い物ポイントを巡っては、円安や原料高もあり、本体価格を対象にしていたニトリホールディングスが2月に付与率を半減するなど、見直す動きは少なくない。増税後の消費の冷え込みにポイントの引当金の負担増が重なるのを避けたい企業も多い。消費喚起をより重視するか、増税を機に対応が分かれそうだ。
総額1兆円、客足を左右
野村総合研究所によると家電量販店やコンビニエンスストアなど、国内11業界の主要企業が発行するポイント(マイレージ含む)総額は2013年度に06年度の1・5倍の1兆円を超える見通し。ICT・メディア産業コンサルティング部の冨田勝己氏は「増税後は消費者の節約志向を背景に利用率が高まる」とし、企業にとって消費者を囲い込む重要度は増す。
ただ総額を基準にするとポイント発行額は増税分増える。ビックカメラの13年8月期のポイント販促費は販売費・一般管理費の1割強の260億円に達し負担は大きい。
家電量販店では消費税込みの総額表示が義務付けられた04年に、一部店舗がポイント還元率を下げ客離れを招いた。ヨドバシカメラの藤沢昭和社長は「負担は増えても分かりやすくないと消費者が離れる」と話す。最大手のヤマダ電機は「現時点で未定」と話しぎりぎりまで見極める考えだ。
日本経済新聞 朝刊,2014/03/27,11面