出光、ポイントサービスで「楽天」参画-Tポイント・ポンタと三つ巴
2014.03.12
給油所を全国展開する石油元売り大手の共通ポイントサービスの勢力図が固まった。大手で最後となった出光興産が楽天の共通ポイント「Rポイントカード」への参画を決め、10月にサービスを始める。ポイントサービスは最大手のJX日鉱日石エネルギーが「Tポイント」、昭和シェル石油が「Ponta(ポンタ)」で先行。東燃ゼネラル石油とコスモ石油は流通大手の電子マネーと連携を図るなど共通ポイントが給油所で必須の集客アイテムとなっている。
出光はガソリンと軽油、灯油を現金で購入した場合、店頭でカードを提示すると、1リットルの購入につき楽天スーパーポイントを1ポイント付与する。クレジットカードでの支払いなど現金以外でもポイントを順次付与できるようにするほか、給油所でポイントが使えるようにサービスを拡大していく予定。約9000万人の楽天会員の来店につなげるほか、楽天と共同で販売促進活動にも取り組む方針だ。
先行するJXエネや昭シェルも出光とほぼ同じ仕組み。JXエネは「エネオスTカード」の発行枚数が2012年4月のサービス開始以来、8カ月で300万枚を突破。Tカード加盟店で当時の最速記録となった。13年12月末時点では649万枚まで増えた。
昭シェルは10年3月のポンタサービスの開始時からの参画メンバー。同社はローソンやゲオなど自社ポイントカードからの移行ではなく、ゼロからポイントサービスを立ち上げた。現在はカードの発行枚数を約170万枚まで伸ばしている。
一方、コスモ石油はイオンの電子マネー「WAON(ワオン)」と連携。ガソリンや軽油の代金をワオンで支払える。コスモはワオンポイントを200円ごとに1ポイント付与する。また、東燃ゼネラルはセブン&アイ・ホールディングスの電子マネー「nanaco(ナナコ)」と連携している。決済はできないが、1リットルの購入につきナナコポイントを1ポイント付与。また、東燃ゼネラルは独自のキーホルダー型決済システムで、ナナコポイントもたまる「スピードパスプラス」を現在まで15万本発行している。
日刊工業新聞,2014/03/11,13面
【 担当者のコメント 】
ガソリンスタンドのポイントサービスだが、TポイントのJX日鉱日石エネルギー、ポンタの昭和シェルが何と言っても共通ポイントの「利便性」という面から群を抜いて目立っていた。そこに、大手で最後となった出光が、楽天Rポイントへの参画を決めた。
出光は、日雑の花王同様、経営戦略的には常に他を引き離す独自路線展開をモットーとしてきたが、ここへきてネット最強軍団の楽天とタッグを組む。
GS業界自体、値引き・価格競争に明け暮れている中、単独企業にて展開するポイントもその延長線上のものと見なされやすかった。逆に共通ポイントのような汎用性・利便性を兼ね備えているツールを最も必要としている業界かもしれない。GSの顧客収奪戦から目が離せない。