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ヤフー、宿泊成約料ゼロ、登録施設呼び込む、客にはポイント付与、実質値引き。

2014.02.28

 ヤフーは今夏をメドに宿泊予約サイト「ヤフー!トラベル」で、成約した際に宿泊施設が払う宿泊料金の10%相当の手数料を無料にする。宿泊施設は同5%相当をポイントとして消費者に付与する。負担を軽減して宿泊施設の登録を増やすほか、実質値引きで利用者も呼び込む。楽天トラベルなど他の予約サイトとの競争が一段と激しくなりそうだ。
 楽天トラベルやリクルート系の「じゃらんnet」といった大手宿泊予約サイトは原則、宿泊料金の10%相当の手数料を宿泊施設から徴収している。今回の手数料無料化により、宿泊予約の値下げ競争が広がり、消費者が割安に利用できる機会が増えそうだ。
 ヤフー!トラベルの掲載施設数は現在、約1万3000軒。「一休・com」など他の宿泊予約サイトに掲載された情報を集めて、掲載している。楽天トラベルやリクルート系の「じゃらんnet」などの2万~3万軒に比べると掲載数が少なく、宿泊希望者の集客で苦戦していた。
 今回、ヤフーは宿泊施設と直接契約する仕組みを導入、自社サイトに登録すれば、成約手数料を無料にする。宿泊施設側の負担を減らし、民宿やペンションなど小規模施設も予約サイトへ呼び込めるとみている。予約キャンセルが発生した部屋をすぐにネット上に登録し、稼働率を高めるような使い方も増えると予想。早期に掲載施設数を2万~3万軒に倍増させる。
 ヤフー!トラベルの集客力を高めるため、同社の宿泊予約サイト経由で泊まった消費者に付与するポイントを5%に設定する。幅広く使えるカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する「Tポイント」がたまるため、利便性が高い。
 インターネット経由の宿泊予約市場は拡大している。観光庁がまとめた2012年度の主要旅行会社の合計取扱高は国内旅行で4・5%増の3兆9374億円だった。ネット経由の予約比率は「全体の2割程度」(業界関係者)といわれ、スマートフォンの普及なども追い風に伸びが大きい。
 ネット最大手の楽天トラベルの13年の取扱高は5473億円で、前年比15%伸びた。01年に予約サービスを始めた同社は、旅行業者の店舗経由の取扱高を取り込む形で右肩上がりで成長を続けている。JTBなどの旅行大手もネット予約の強化に本腰を入れ始めている。
 
 

  日本経済新聞 朝刊,2014/02/26,9面