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東南アジア、ホテル強化、オークラ、タイなどに開業、地元客リピーター育成。

2014.10.06

 ホテルオークラが東南アジア出店を強化している。2017年にタイ・バンコクに、18年にフィリピンのマニラに新ホテルを開業する。同社はすでに海外で26ホテルを運営しており、20年までに50に増やす方針。経済成長が続く東南アジアを中心に新施設を開業、日本式のおもてなしで地域ナンバーワンを目指す。
 タイに開業するのは、10年に子会社化したJALホテルズのホテルニッコー。オークラはすでにバンコクの中心部に「オークラプレステージバンコク」(240室)を運営しており、タイでは2施設目となる。ニッコーホテルは外国人が多く住む下町地区で運営、300室の大型高級ホテルとなる見込み。
 一方、ホテルオークラで開業するフィリピンは同社としては初進出。マニラ市内の海岸部の大型再開発地区に建設される統合型リゾートの一部として出店する。客室数は380。観光客に加え、国際会議などのビジネス需要も取り込んでいく。
 国内のホテル市場が成熟する中、ホテルオークラは今後の成長戦略の主軸をアジアに置く。荻田敏宏社長は今後、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、トルコの5国・地域で重点的に新ホテルを開業すると明言。日本流のサービスに加え、直営のレストランをホテル内で運営、地元客にも利用される「地域の代表的なホテル」(荻田社長)を目指す。
 幅広い顧客取り込みのため、今後、海外では1つの土地にオークラとニッコーの2ブランドのホテルを開業することも検討する。バックヤードを一元化することで効率運営に取り組むと同時に、オークラ、ニッコー両ホテルのブランドの浸透を図る。
 世界では米マリオットやヒルトンといったメガホテルチェーンが数千施設を展開している。これに対してオークラは規模よりも集中出店による特定地域での認知度向上を目指す。直営レストランなどの飲食事業に注力し地元での高評価につなげれば、地元客が海外旅行に行く際、オークラ、ニッコーブランドが選ばれる大きな理由になる。
 会員プログラム「ワン・ハーモニー」も改良する。これまでは全ホテル共通で宿泊者向けの特典付与だったが、今後は飲食店利用などでもポイントがたまるようにする。各地のオークラに宿泊するビジネス客だけでなく、地元客のリピーター育成を目指す。
 日本発の国際ホテルチェーンはまだ現れていない。現段階では、海外で30施設近くを運営するホテルオークラが、日本勢ではアタマ1つ先んじている格好だ。ただ、アジアではシンガポールのバンヤンツリーやアマンリゾーツといった国際リゾートチェーンも出現、欧米発のメガチェーンもまじえ猛烈な競争が予想される。
 「日本式サービス」の価値を訴え、どこまで現地客を取り込めるか。展開のスピードと、立地や合弁相手選定の慎重さ、双方が求められる。
 
 
  日経MJ(流通新聞),2014/10/06,4面