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初心者にクラブ1本進呈―ゴルファー獲得、各社知恵(サーチライト)

2014.08.18

 初心者にゴルフクラブ1本を無料で差し上げます――。「無料といっても何か有料会員になる必要があるのでは」などと疑いたくなるが、ゴルフ用品店を展開するゴルフパートナーが今月11日から始めたサービスだ。同社の全国の店舗約290店で展開し始め、滑り出しは上々という。
 このサービスの対象となるのはゴルフ経験が全くない中学生以上の男女。経験の有無は自己申告制で、店頭で同社のポイントカード会員に無料登録するとクラブ1本をもらえる。
 ゴルフパートナーは中古クラブを中心に扱っている。中古といえども、本来ならば売り上げに寄与するものを無料で提供してしまうのは企業にとっては痛手となる。しかし、ゴルフ市場の縮小を考えれば背に腹は代えられない状況という。同社の担当者は「確かに採算度外視だが固定客になれば1回1万2000円程度の客単価が期待できる」と話す。クラブ1本だけでは本格的なゴルフデビューには不十分で、セール情報などを発信しながらボールやシューズなどの「ついで買い」を促していく戦略だ。
 業界推計によると2025年のゴルフ人口は10年比約3割減の670万人にまで落ち込むとされる。若年層のゴルフ離れが原因の1つで深刻さが増している。ゴルフ関連各社は若者に興味を持ってもらえるような施策を矢継ぎ早に打っている。ダンロップスポーツは年24回3000円のゴルフ教室の展開を広げている。
 ランニングや水泳と違って「ゴルフはお金のかかるスポーツ」とのイメージが強い。若年層のゴルファーを獲得するためには各社が単独で戦略を打つだけでなく、道具購入からラウンドデビューまでを業界全体で支えていくような取り組みが必要といえそうだ。
 
 
  日経産業新聞,2014/08/18,10面