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エネルギー大競争時代(3)電力販売、小売りと連携-「ポイント」で差別化

2016.02.08

 4月の電力小売り完全自由化は消費者との接点である店舗の活用が、流通業、電力会社双方にとりビジネスチャンスになる。すでにローソンが三菱商事と組み、家庭向け電力小売り事業に参入した。イオンやセブン&アイ・ホールディングスは今のところ市場参入を表明していないが「何らかの形で電力小売り自由化に対応するのではないか」(あるスーパー幹部)という見方が有力だ。
 【コンビニ先陣】
 「電力小売り自由化はガソリンの小売り市場と同じではないか」。ある関係者はこうした見方をする。電源ごとの発電コストは各社とも同程度。送電コストも決まっている。価格はスタンドの立地や地区によって高低はあるが、差別化の決め手があまりないという。
 ただ、小売業は店舗を持つ強みがある。その強みを最大限活用する方針をいち早く発表したのが三菱商事とローソンだ。家庭向け電力販売の共同出資会社を設立、「まちエネ」というサービス名称で2月1日からウェブで受け付けを開始した。
 【契約動機付け】
 ローソンが店頭で告知などを行い、契約すると大手電力会社に比べて割安なばかりでなく、電気料金1000円に対し、商事系の共通ポイント「Ponta(ポンタ)」を10ポイント付与する。さらにローソン店舗で使えるクーポンを毎月進呈するという小売業ならではのサービスが付く。
 顧客は毎日使う店舗でのポイントやクーポンなどが付けば契約の動機付けになる。
 イオンやセブン―イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイからは今のところ家庭用電力小売りへの参入計画は公表されていないが、水面下では電力自由化への対応を検討しているとみられる。
 【PPSの動向】
 新電力会社(PPS)や既存の電力会社にとって全国に拠点を持つコンビニやスーパーは、ポイントの付与など料金以外の付加価値を高める有力な手段であり、組みたい相手であるのは確かだ。
 イオンは「PPSを含め、複数の電力会社を活用したい」と言うにとどめており、今のところ具体的な計画は明らかではないが、電子マネーの「ワオン」ポイントの付与などが想定される。
 セブン―イレブンはすでに自由化対象の電力購入分野で、関西の店舗約1000店で東京電力から越境購入を始めており、年数億円のコスト削減に成功している。東電との関係性などから東電系に重点を置いたサービスを展開するかどうかが、今後の焦点となりそうだ。
 
 
 日刊工業新聞,2016/02/04,ページ:1