ニュース

電力、東電に対抗値下げ、4月自由化にらみ競争激化、JXエネ、最大10%安く、関電とイオン、ポイント提携。

2016.01.18

 4月の電力小売り自由化を控え、値下げを表明した東京電力に対抗する動きが広がってきた。JXエネルギーは現行の東電の料金より最大で10%安いプランを導入する。関西電力は電気使用量の多い家庭に最大5%程度値下げするほか、イオンとポイントサービスで提携する。東電が新料金を打ち出したことを受け、電気料金の引き下げ競争が一段と激しさを増してきた。
 JXエネルギーは14日、料金プランを発表する。「ENEOSでんき」というブランドを掲げ、契約容量や電気使用量に応じて複数の値引きプランを用意する。例えば50~60アンペアで1カ月の電気使用量が600~700キロワット時の場合、東電の現行料金より約10%(年間2万円以上)安くする。
 系列給油所で使えるENEOSカードの会員のうち、電力購入者にはガソリン価格の値引き幅を広げる。通常の割引額に加えて、1リットルあたり1円値引く。共通ポイントカード「Tポイント」や、トヨタファイナンス、家電量販店のノジマなどとも電力販売で提携し、月々の電気料金をポイントなどで還元する。
 JXエネは東電の新料金よりさらに割安なプランを打ち出し、ファミリー層を中心に初年度に50万件の契約獲得を目指す。ソフトバンクと提携する東電に対抗し、JXエネや関電は通信と電気のセット販売へKDDIと詰めの提携交渉を急いでいる。
 関電は週内にも4月から導入する新料金を発表する。関電の現行料金より5~10%程度安い料金で管内に参入する東電や大阪ガスなどに対抗し、まず家族世帯を照準に最大5%程度値下げするプランを用意する。高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働が見込める4月以降はすべての家庭用料金を追加で引き下げる。追加の引き下げ幅は3~5%程度を検討している。
 あわせて、4月から関西圏や首都圏で自社のポイント制度「はぴeポイント」でためたポイントをイオンの電子マネー「ワオン」や三菱商事系の共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」とも交換できるようにする。これまでは全日本空輸のマイレージなどと交換できていた。東日本大震災後に中止した電気使用量に応じたポイント加算サービスも16年度中に再開したい方針だ。
 4月に電力小売りが全面自由化されるのにあわせ、東京ガスや東燃ゼネラル石油など新規参入組は相次ぎ東電の現行料金より3~6%安い料金を打ち出してきた。ガスや通信サービスとのセット割なども用意し、顧客開拓を進める方針だ。
 これに対し東電は7日、電気使用量が多いファミリー層向けに現行より5%程度安くする新料金プランを発表。顧客獲得競争が加速している。
【図・写真】JXエネは電力購入者にガソリン価格の値引き幅を広げる
 
 
  日本経済新聞 朝刊,2016/01/14,ページ:15