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第6部動き出した自由化(上)沖縄はゼロ、中国も低く(電力ビッグバン)

2016.05.24

 沖縄電力は離脱率がゼロだ。本土からの送電線がなく、電源の面から新電力が成立しにくい。
 次いで離脱率が低いのは中国電力。こちらは消費者の選択肢が少ないことが理由に挙げられる。
 「電力自由化はご存じですよね。新メニューに切り替えませんか」
 広島市の繁華街にある家電量販店「エディオン広島本店」。店員が店頭で勧めるのは、新電力ではなく、中国電の新料金メニューだ。
 中国電とエディオンは電力小売りで提携。店頭では店員が来客に「新メニューとセットでオール電化を検討しませんか」などと呼びかけている。同店の販売担当は「新電力よりも、中国電の新メニューが知りたいという消費者が多い」と話す。
 エディオンは広島発祥の旧デオデオ系で地元で存在感が大きい。中国電は地域一番店との提携戦略で先手を打ってきた。
 プロ野球の広島東洋カープと組み、公式戦の成績に応じてポイントがたまるメニューも導入。中四国最大の総合スーパー(GMS)を展開するイズミともポイント連携などで提携している。
 一番の対抗勢力となるはずの広島ガスはいまだに電力小売り参入を正式表明していない。事業規模の違いもあり、「2017年のガス小売り全面自由化での返り討ちを恐れ、弓をひきたくないのでは」(業界関係者)。
 中国に次いで少ないのは北陸電力。北陸エリアは水力発電比率が25%を占め、電気料金が安い。5月の家庭向け標準モデルでは、関電が7758円なのに対し、北陸電は6993円と10電力で最安。割安な料金が新電力の障壁となっている。
 北陸電の金井豊社長は「離脱が増えないよう対策をとる」とし、ソフトバンクと提携協議に入った。電気と通信とのセット割引などを検討中だ。
 中国や北陸では現状、大手電力につけいる隙が少なく、新電力「不毛の地」となりかねない。
 
 
 日経産業新聞,2016/05/24,ページ:1