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スマホに店舗ポイント――カードだらけを解消(デジタル図鑑)

2016.05.24

 アパレルやドラッグストアなどが発行するポイントカードは、消費者にとって特典がもらえる半面、なくしたりカードだらけになったりと不満も多い。そんなポイントカードをスマートフォン(スマホ)で管理できるサービスが相次いで登場している。
 リクルートライフスタイル(東京・千代田)は4月、来店したり対象商品をスキャンしたりするとポイントを付与するスマホ用アプリ「ショプリエ」に、ポイントカードの一括管理機能を加えた。アパレルのアーバンリサーチ、シップスのほか、雑貨のプラザなど43ブランドのポイントカードを登録できる。
 連携の仕方は2つある。1つは店舗のポイントサービスのシステムと接続する方法、もう1つは店舗のポイントサービスで使うバーコードのみをスマホに登録する方法だ。前者はシステムを両社で構築するため費用と時間がかかるが、購入やポイントの履歴まで管理できる。後者は従来のバーコードを使えばいいため導入は簡単だが、得られる情報は限られる。
 利用者が店舗のカードを持っている場合はその情報を登録する。新たに登録する場合は、ショプリエの利用を始めるときに入力した情報を使えるため、登録の手間を省ける。
 利用者の利便性向上につながることから事業者側からの要望も多く、夏にはアプリを改良してポイントカード管理を主な機能とする予定。大手アパレルや家電量販店も加わり、180ブランド1万5000店まで広がる。その後はリクルートの顧客管理ノウハウを活用して、効果的なタイミングで追加ポイントを付与する販促策などで利用拡大につなげる計画だ。
 リクルートはどちらかと言えばすでにポイントサービスを持っている大規模事業者を束ねるサービス。ポイントサービスを持たない小規模事業者に導入してもらい、利用者もスマホで管理できるようにしているのがLINE(同・渋谷)だ。
 LINEは2015年10月、対話アプリに無料でポイントカードを作れる機能を導入した。今年3月にはポイントカードを発行している店舗を探せる機能や、持っているポイントカードを一覧できる機能を追加した。
 仕組みはまず店舗が自分のアカウントを作る。そのアカウントにひも付く形でポイントカードが作成でき、「友だち」になった消費者に配布できる。店舗が用意したQRコードを消費者が読み込む形でポイントがたまっていく。特典に必要なポイント数や内容は店側が設定でき、カードの配布枚数やポイントの発行状況も確認できる。
 店舗はLINEの対話機能を使って、ポイントカードを取得した顧客に販促策を講じることもできる。飲食を中心に美容室や小売りなど、1万を超す店舗がポイントカードを活用している。
 ポイントを資産ととらえて管理サービスを提供するのはマネーツリー(同)だ。Tポイントやポンタといった共通ポイントのほか航空会社のマイレージ、東急ハンズやマツモトキヨシなど15を超えるポイントを銀行口座やクレジットカードと一緒に管理できる。
 海外では管理するポイントを決済に利用できるサービスもある。米シフトファイナンシャルのシフトペイメンツは、ビットコインや電子マネーなどあらゆる通貨で決済ができるサービス。どの通貨やポイントで決済するか選べる。日本でもポイント管理だけでなく、消費につながるサービスへと広がる可能性が高い。
 
 
 日経産業新聞,2016/05/23,ページ:6