中国電、純利益20%減、前期271億円、火力の修繕費かさむ、自由化の影響は限定的。
2016.05.02
中国電力が27日発表した2016年3月期の連結決算は、純利益が前の期比20%減の271億円だった。老朽火力発電所などの修繕費がかさんだ。島根原子力発電所(松江市)2号機が停止する中で2期連続で黒字を確保したが、燃料価格低下の寄与が大きく、清水希茂社長は「厳しい状況に変わりはない」との見方を示した。17年3月期も黒字確保を目指す。一方、1日からの電力小売り全面自由化の影響はまだ限定的だとした。
売上高は5%減の1兆2315億円だった。暖冬の影響で暖房など家庭向けの電気需要が低調だった。電力販売量は567億キロワット時と2%減少した。
電力小売りの全面自由化により、現時点で中国電から新電力などに切り替えた家庭向け(低圧)電気契約は約1000件で、首都圏など他地域と比べ影響は限定的だった。
清水社長は「いずれ中国地方でも競争は激化する。顧客ニーズをとらえたサービス向上などを推進していく」と強調。地元企業と連携したポイントサービスを拡充して顧客を囲い込むとともに、首都圏など地域外での電力小売りによる新規顧客獲得の両面に力を入れる方針だ。
17年3月期の業績予想は、売上高が前期比3%減の1兆1900億円を見込む。利益については島根原発2号機の再稼働時期が不透明なことから未定としたが、経営効率化などを進め「黒字確保を目指す」(清水社長)。資材の競争発注など経営効率化によるコスト削減額は約260億円を計画する。
原子力規制委員会による安全審査中の2号機に関して、清水社長は「(審査の)山場となる基準地震動の最終審査を控えている状況だ。プラント審査を含め適合性認可となるよう全力で取り組んでいく」と述べた。収益改善へ早期の再稼働実現に期待を示した。
昨年3月に廃炉を決定した島根原発1号機について、清水社長は28日に立地する島根県と松江市を訪問し、事前了解に向け廃止計画を説明する。廃炉にかかる費用は約380億円を想定しているとした。
ただ、作業の開始・完了時期といった具体的な内容については明言しなかった。
日本経済新聞 地方経済面 中国,2016/04/28,ページ:11