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スマホに無料クーポン、日本コカ、自販機でサンプリング、機動的に商品PR。

2016.05.02

 日本コカ・コーラは、自動販売機とスマートフォン(スマホ)アプリを活用したサンプリング(商品の無料配布)を始める。利用者の購買データを分析したうえで、商品と交換できるクーポンをアプリに配布する。小売店を通じたサンプリングに比べて手間が減らせるほか、消費者に効率的に商品をアピールできる。
 今月上旬に自社アプリ「コーク・オン」を公開し、ポイントサービスの提供を始めた。利用者が自動販売機の前でアプリを立ち上げれば、商品を1本購入するごとにポイントを付与し、15ポイント集めると商品がもう1本もらえる仕組みだ。
 サンプリングは、まず今夏に開かれるリオデジャネイロ五輪での活用を検討する。日本人選手が金メダルを獲得した瞬間に、商品と交換できるクーポンを利用者のアプリに配布する計画だ。
 商品の効果的な販促にも生かす。例えば、気温がセ氏30度を超えた地域限定でスポーツドリンクと交換できる無料クーポンを配布する。熱中症などに役立つことをタイムリーに消費者に伝えられるようになる。
 アプリでは個人情報は取得しないが、アプリの利用者がどの程度の頻度で、どんな商品を購入しているかの購買データが蓄積できる。新商品の発売直後などに関心が高そうな利用者に絞り込んでクーポンを配布することなども可能になる。
 同社は景品を配るキャンペーンを年間で4、5回展開している。ただ、一般的に準備や小売店への対応などで実施には4~5カ月程度かかる。アプリの活用で1~2週間ほどに短縮でき、消費者の動向が変わらないうちに機動的なキャンペーンが打ちやすくなる。
 アプリと連動する自販機はまず東京や大阪など50地域に集中的に設ける。今後、全国に約100万台ある自販機を全て置き換える計画で、全国規模でのサンプリングをより展開しやすくする。
 食品メーカーのサンプリングは、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店が主流だった。メーカーは消費者と接点を持てず、効果も数値などで検証しにくい面があった。今回の仕組みで消費者の動向を直接把握できるようにし、販促の効果を上げる。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/04/27,ページ:7