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メルマガ・DMを再評価しよう―スマホ世代に意外と新鮮(奔流eビジネス)

2016.03.31

 消費者向けのマーケティングツールは多様化している。その中で効果が疑問視されているのがメールマガジン(メルマガ)だろう。
 オンラインショップのメルマガも、一時は飽和状態で消費者も食傷気味だった。それでもメルマガは強力なマーケティング手段であることは間違いないようで、メルマガをスマートフォン(スマホ)で読みやすくしたショップは効果を上げている。
 例えば、楽天のネット通販「楽天市場」で優秀なショップに贈られるショップ・オブ・ザ・イヤーの常連である「京橋ワイン」の鈴木達雄氏によると、この何年かメルマガによる売上高は全体の3割とほとんど変化していないそうだ。
 私が関わっている幾つかのプロジェクトでも、メルマガの効果はじわりと上がってきている。オンタイムニュースではなく、1年前のメルマガのURLがクリックされるなど、アーカイブとして読まれる傾向も顕著だ。
 Gmailで自分に来た過去のメールを検索して読む。過去のメールをキーワードで検索した時に上がってくれば、1年前のメルマガも読まれる可能性があるのだ。
 ジャパンEコマースコンサルタント協会(東京・中央)代表理事の川連一豊氏も、過当競争の中で継続的に売り上げを伸ばしているネットショップはメルマガの活用で優れていると強調する。川連氏はメルマガ活用の3つのポイントをあげる。
 まずはスマホでも読みやすいメルマガづくり。作り手が自分の書いたメルマガをスマホで確認していないことが意外と多いが、パソコンで見るときれいに改行していても、スマホで見ると非常に見づらかったりする。
 次に、適度な頻度で送ることだ。宣伝したい商品によって多少異なるが、うるさく思われない程度、週に1、2回送る。
 3つ目は、検索でメールを読むという消費者の習慣に対応することだ。Gmailで検索した時に、メルマガのタイトル内容を、きちんと検索結果に表示されるようなものにする。
 かつてメルマガは読み物として面白いものを求められた。メールアプリが検索サイトとして使われることを意識し、それと同じくらいに商品情報や活用のアイデアなどを充実させていくことが必要だ。
 メルマガに加え、ダイレクトメール(DM)も見直されてきている。実は今春大学生になる娘がポンタカードやTポイントカードなどに個人情報を提供して以来、アパレルなどからフレッシャーズセールのDMが毎日届く。
 筆者が捨てようとすると、娘が怒る。自分宛てにはがきで広告を送ってくれることに「一人前に扱われた喜び」を感じているらしく、大切に手帳に挟んでいる。
 偶然にも、日本ダイレクトメール協会(東京・中央)専務理事の椎名昌彦氏が「DMメディア実態調査2015」の速報説明セミナーでこんな趣旨の発言をしていた。スマホに慣れ親しんだ若年層にはアナログな広告手段が意外と効くという結果が出たという。何でもデジタルで済ませる世代だからこそ、自分宛ての「カタチ」に反応するのだろう。
 メルマガやDMはマーケティングの基本。送る相手ごとの活用シーンや行動パターンをもう一度確かめて、効果が上がるものに刷新していくことが大切だ。効かないと悩んでいる人は「効かないカタチ」でしか送れていないからかもしれない。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/03/25,ページ:6