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消費増税家計を磨く―現金かカードか再考の春、還元率と年会費吟味(M&I)

2014.03.26

 消費者が買い物をするたびにクレジットカード会社や小売業などから受け取るポイント。たまったポイントは別の買い物に利用できるため、上手に使えば消費税増税の負担を軽くできる。現金払いを減らし、多くのポイントが付くカードなどで決済するのがコツだ。ただポイントに釣られて無駄遣いをするのは本末転倒。賢く使う方法をまとめた。
 「クレジットカードはこれ1枚で十分。妻の家族カードも合わせて年間5万円分くらいポイントがたまる」。横浜市在住の会社員、堀井文人さん(32)はこう話す。日常の買い物から公共料金までクレジット払いができるものはすべてカードで払う。
 ポイント付与3.5倍
 使っているのはカード会社のジャックスが薬日本堂(東京・品川)と提携し2007年から発行する「漢方スタイルクラブカード」だ。
 堀井さんは漢方に関心がなく、薬日本堂の店舗がどこにあるのかも知らない。しかしポイント還元率が1・75%と平均的なカード(0・5%程度)の3・5倍に達することが決め手になったという。インターネットなどで手続きをすれば、たまったポイント分を次回以降のクレジット払いの請求金額から直接差し引いてもらえる。
 クレジットカードが使える小売店やネット通販業者などはクレジット決済された代金の2~5%程度の手数料をカード会社に支払う。この手数料の一部を商品券やカタログギフトなどでカード利用者に戻すのがポイントの基本的な仕組み。どんな方法でどのくらい戻すかはカードによって異なるため、還元率がカードを選ぶときの目安の一つになる。
 ただポイントを多く戻すカードは年会費に注意したい。都内の実家で暮らす独身男性(31)は「クレジット払いは多い月でもせいぜい2万円。年会費を取られたらメリットがない」と考え、2年目から1575円の年会費がかかる漢方カードを解約することにした。ネット通販などで使えるポイントが1%付く年会費無料の「楽天カード」と単純に比較すると、クレジット払いが年間21万円までなら楽天カードに軍配が上がる。
 数多いクレジットカードから自分に合ったカードをどう選べばいいか。ポイント情報サイト「ポイ探」の菊地崇仁代表は「カードの名称にとらわれず、年会費やポイント、機能で選ぶといい」と助言する。
 例えば「ビックカメラSuica(スイカ)カード」。クレジットカードと電子マネー「スイカ」を一枚にしたカードで、クレジット払いでスイカにチャージ(入金)すると、1・5%のポイントが付く。
 同カードでチャージしたスイカで東京急行電鉄の回数券を仕事用に買っている都内のエンジニア、塚本憲一さん(31)は「回数券の割引のほか、クレジットのポイントも付くので交通費を浮かせる」と喜ぶ。東急の回数券はクレジットカードでは直接買えないが、いったんスイカにチャージして買えば1・5%のポイントが得られる。
 東日本旅客鉄道(JR東日本)系列のビューカード(東京・品川)が発行するクレジットカードのほとんどはスイカへのチャージで1・5%のポイントが付くが、年に1回でも利用実績があれば年会費が無料になるのはビックスイカカードだけ。ビックカメラで買い物をしない人も年会費無料の恩恵があるわけだ。スイカの残高に応じて改札を通過した時に自動的に入金する「オートチャージ」機能を設定すれば、入金の手間もかからない。
 「2重取り」で2.75%
 こうした電子マネーへのチャージでポイントがたまるクレジットカードは少ないが、ポイントを「2重取り」できる場合がある。漢方カードとセブン&アイグループの電子マネー「nanaco(ナナコ)」を組み合わせて使うと、漢方カードからナナコへのチャージで1・75%、ナナコによる買い物で1%のポイントが付くため、合計で代金の2・75%が戻る。
 航空会社系列のクレジットカードで「マイル」をためて無料の特典航空券に交換する人も多いが、マイルにも有効期限がある。カード情報サイト「クレジットカードDB」の大澤日出男代表は「クレジット決済の利用が少なく、飛行機にあまり乗らない人には向かない」と指摘する。
 野村総合研究所の推計によると、国内で1年間に付与されるポイントは金額換算で1兆円弱。クレジットや電子マネーだけでなく、様々な業種の大手チェーンで使える「Tカード」「Ponta(ポンタ)」といった共通ポイントカードも広く出回っている。「これまでポイントを利用していなかった人が使い始めれば、支出の1%程度は節約できる可能性がある」と野村総研の冨田勝己・上級コンサルタントは指摘する。
 
 

  日本経済新聞 朝刊,2014/03/19,21面