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居酒屋、お得感演出競う―ダイナック、ポイントの還元率上げ、三光マーケ、割引率高いカード導入(消費税5%8%)

2014.02.05

 居酒屋各社が4月の消費増税を見据えてポイント還元などのサービスを充実させている。ダイナックは展開する居酒屋「響」などで利用できるポイントカード「倶楽部ダイナック」の還元率を2月から引き上げる。三光マーケティングフーズも割引率の高いVIPカードを導入した。4月以降の客離れを防ぐため、増税前からお得感を訴えたい考えだ。
 倶楽部ダイナックは2000年から開始し、同社が展開する「響」「咲くら」など全国約150店で利用できる。税別の飲食代金100円ごとに10ポイントが加算され、3千ポイントたまると3千円分の食事券がもらえる。入会金や年会費はかからない。
 これまでは還元率が支払額の10%分だったが、2~3月は15%となる。増税後の4~5月はさらに3%上乗せして18%にまで引き上げる予定だ。
 ダイナックは昨年11月の既存店売上高が8カ月ぶりに前年同月比でプラスとなり、12月も1・7%増と居酒屋チェーンのなかでは好調を維持している。「ポイント還元を増やし、増税後の消費者離れを防ぎたい」(若杉和正社長)
 居酒屋「東方見聞録」などを運営する三光マーケティングフーズも今月から、飲食代の10%割引となる「VIPカード」の配布を24万枚限定で始めた。最初は10%の割引からスタートし、3回利用するごとに割引率が10%上乗せされ、最大で30%の割引となる。カードの利用期間は11月30日までで、消費増税前の駆け込み需要を取り込みたい考えだ。
 コロワイドも100円ごとに1ポイントを加算するポイントサービス「クラブコロワイド」の還元率を、消費増税前の3月に現在の2倍に引き上げることを検討している。

  日経MJ(流通新聞),2014/02/05,19面

担当者のコメント

 居酒屋業界が、消費増税のタイミングでポイント還元率(あるいは割引率)の引き上げ合戦に走っているという内容の記事である。実質的に禁止法で騒がれた消費税還元セールに相当するわけだが、このようなポイントプログラムによる企業の対抗策は今後増えてくることは間違いないだろう。ただ日経MJの報道で気になるのは、数日前に、消費増税後の経営インパクトを恐れて、ポイントサービス自体を廃止したり、還元率を下げたりする企業があるため、「ポイントは下火」と書いた矢先でこの記事を持ってきたことである。丸っきり逆の解釈をしているわけなのだが、日経も、即表面的な解釈を与えるのでなく、企業がポイントなどの付帯サービスを消費のトリガーと見ている中で、そのコスト配分に知恵を悩ませている様を丁寧に見て取り上げて貰いたいものである。