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H2O、イズミヤを傘下に、「関西連合」で大手迎撃、会員700万人強みに。

2014.02.05

 阪急阪神百貨店などを傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は中堅スーパーのイズミヤを6月1日付で子会社にすると発表した。H2Oが株式交換でイズミヤの全株式を取得し、イズミヤは5月28日に上場廃止となる。両社合わせて700万人いる会員カードのシステムを統合する計画で、イオンなど大手小売りが攻勢をかけるなか、“関西連合”で対抗する。
 両社がカード会員を分析したところ、大阪・梅田を中心とする半径50キロメートル圏内に住む世帯の半数超をカバーしていたという。H2Oの椙岡俊一会長は「関西のシェアを取るには手数がいるが、イズミヤ以上のグッドパートナーはいない。この関係をベースに関西をどう深耕するかが課題だ」と強調した。
 統合でH2Oが特に狙っているのが、百貨店からスーパーまで持つことで、生活者のあらゆるニーズをくみとる態勢の構築だ。椙岡会長は「関東と違って関西(に拠点を置く百貨店)は商圏が広がらない。店舗形態、価格、生活の幅を広げて地盤を固める」と語った。
 その武器となるのがカード会員の組織。両社合わせて約700万人の規模は大阪府の人口(約886万人)に迫る。H2O主導で両社のシステムを統合し、顧客データを分析する。ポイントの共通化により、顧客がH2Oとイズミヤの両方の店舗を利用するよう促す。
 イズミヤが持つ総菜・食品加工工場と阪急オアシスの製パン工場の相互活用を進める。稼働率アップでコストを削減できるほか品質も高められるとみている。「食品の強さをもう一度構築したい」(イズミヤ次期社長の四條晴也専務)
 イズミヤが苦戦する衣料品についてH2Oが支援することも検討する。ファッションに強いH2Oのノウハウを利用して商品構成を見直す。イズミヤの坂田俊博社長は「商品の価格帯は異なるが、共通化できる部分はある」とみる。少子高齢化社会をにらみ、宅配事業も磨きをかける方針だ。
 イズミヤは800億円弱にのぼる有利子負債を抱えており、店舗の改装や出店に十分な資金を投入できなかった。H2Oの傘下入りで資金繰りが改善し、「店舗の建て替えなどにも積極的に資金を投じられるようになる」(四條晴也専務)。
 関西ではスーパーの再編が急ピッチで進んでいる。先行するのはイオン。2007年に光洋(大阪市)を買収したのに続き、11年には大阪や兵庫にも店舗を持つ山陽マルナカ(岡山市)、13年にはピーコックストア(現イオンマーケット)を買収した。セブン&アイ・ホールディングスも天満屋ストアに出資している。イズミヤのH2O傘下入りで、こうした動きが一段と加速しそうだ。
 エイチ・ツー・オーリテイリング 阪急百貨店として1947年設立し、阪神百貨店と統合して2007年発足。傘下に阪急阪神百貨店を15店、阪急オアシスを70店展開する。14年3月期の連結売上高予想は5700億円。従業員数は5542人(13年3月末)。
 イズミヤ 1952年設立。関西地盤のスーパーで、119店を運営する。14年2月期の連結売上高は3500億円を見込む。従業員数は3743人(13年2月末)。

  日経MJ(流通新聞),2014/02/03,7面