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イオンのマレーシア格安店、ポイント会員カード発行、14年度150万人獲得めざす、節約志向の客囲い込み。

2014.02.05

 イオンはマレーシアで展開する低価格店で、買い物額に応じてポイントが付く新たな会員カードの発行を始めた。マレーシアは東南アジアでの事業拡大を急ぐイオンの戦略拠点だが、物価上昇が続き、2015年4月には消費税の導入も予定されている。14年度末までに150万人の会員を獲得し、節約志向の消費者を囲い込む。
 会員カードは現地法人のイオンビッグマレーシアが昨年11月に発行を始めた。同社は12年秋に買収した旧カルフール現地法人。ハイパーマーケットと呼ぶ低価格品中心の大型店などを28店持つ。
 主要顧客は年間の世帯可処分所得が5千~1万ドル(約50万~100万円)の下位中間層。商品を大量陳列したり、物流経費を抑えたりすることで特売を実施し、集客につなげてきた。だが英テスコや地場大手のマイディンなどとの安売り競争が激しくなっている。
 イオンビッグマレーシアの会員カードは購入金額が1リンギ(約31円)で1ポイントがたまり、1千ポイントごとに5リンギ(約155円)を還元する。入会金などは無料。マレーシアでは車での来店比率が高く、会員は駐車場を無料で利用できるようにする特典も設けた。会員は店頭で勧誘するほか、交流サイト(SNS)のフェイスブックなどでも募る。
 中間層以上の取り込みも狙ってイオンマレーシアが約30店を展開する総合スーパー(GMS)のカード会員がイオンビッグの店で買い物するときや、イオンビッグマレーシアのカード会員がイオンマレーシアのGMSで買い物するときも特典を付けることを検討する。
 イオンマレーシアは約123万人のカード会員を持つ。店内に無料の飲料やWi―Fiを整備したラウンジを開いたり、大手メーカーと連携して会員向け割引商品を販売することなども検討しており、優遇策で固定客を増やす。
 イオンビッグマレーシアは14年度から新規出店を加速し、20年度に60店体制にする計画。低価格店が比較的手薄な生鮮品の取り扱いを拡大したり、焼きたてピザなどの総菜を増やしたりするなど品ぞろえでも競合他社との違いを出すことを目指している。
 マレーシアを中核とするイオンの東南アジア諸国連合(ASEAN)事業は13年3~11月期の売上高が前年同期比9割増の1309億円で、営業利益は7%増の46億円。独自の会員特典やプライベートブランド(PB)商品の拡充を通じ、20年度までにマレーシアでの小売業首位を目指す。

日経MJ(流通新聞),2014/01/10,4面

担当者のコメント

 海外でのポイントサービス事例である。ポイントサービスに類するサービスは、アジア諸国では中国はじめかなり展開されている。ただ基本的にロープライス的な金銭的価値に日本以上に過敏に反応する国が多いため、クーポンやセールに対する志向が日本以上に強い。記事にあるマレーシアのイオンのポイントサービスは、単なるキャッシュバックインセンティブではなくかなり日本的な(店舗ならではの特典など)発想によるサービスのようである。記事内容以上に、やはりロイヤルティ・プログラム(ポイントの英訳名称)としての導入と考えられ、日本の「おもてなし」的付加価値がつけられるかどうかが成功の鍵のように思われるが、いかがであろう。