スマホ片手ふらっと入店――GPSと連動、訪れるとポイント、お得情報を表示(ネットナビ)
2014.05.13
スマートフォン(スマホ)の位置情報をもとに外出先で小売店などを探せるサービスが広がっている。全地球測位システム(GPS)で地図を確認しながらポイントやクーポンをもらえる店舗を見つけられるものや、気になる店の近くに行くと通知してくれるサービスなどが人気だ。タイムリーに情報が得られ、町歩きを楽しめる。
東京都武蔵野市の会社員の若杉典子さん(32)は週1回ドラッグストアを訪れる。目的は買い物だけではない。スマホを手に店に足を運ぶだけで、ポイントがもらえるのも目当ての一つ。勤務先近くでは、普段はあまり行かない店なども巡りながらポイントをためている。
若杉さんが使っているのは「楽天チェック」というアプリ。ダウンロードして商業施設やドラッグストアなどの小売店を訪れるだけで、買い物をしなくても楽天のポイント「楽天スーパーポイント」がもらえる。
運営する楽天の子会社のスポットライト(東京・渋谷)は2011年から独自のポイントサービス「スマポ」を提供してきた。昨年に楽天の傘下に入り、今年4月から楽天チェックのサービスを始めた。利用者はまず、アプリを使って自分がいる場所の周辺で、ポイントがもらえる店舗を確認。入店して指定の売り場を訪れると自動的に検知され、ポイントがもらえる流れだ。
楽天スーパーポイントは、楽天グループのネット通販「楽天市場」や旅行予約サイト「楽天トラベル」など各種サービスと共通でためて、使うこともできる。他社のポイントや航空マイルに交換も可能だ。
■パルコが全国で導入
現在は、紳士服チェーンのはるやま商事の「はるやま」や若者向けの「P.S.FA(ピーエスエフエー)」、家電量販店の上新電機、プランタン銀座の各店舗などでポイントがたまる。4月下旬には全国のパルコ19店が導入した。楽天は今後、都市部だけでなく、地方に展開する小売店などにも導入を促す計画だ。
アプリには店からのメッセージを受けとれるなどの機能がついている。楽天は楽天市場などの購買データと楽天チェックを連携させる方針で、欲しい商品やサービスをアプリが薦めてくれるようになる。
「来店で母の日にちなんだレターカードをプレゼント」。4月下旬、東京の渋谷。スマホで表示した地図には近くの百貨店内の化粧品売り場が実施中のキャンペーン情報が掲載されていた。ほかにも、眼鏡店の新商品の情報など吹き出しの形で地図上に表示された。
このサービスは「ミセトク」。価格比較サイト「価格.com」などを運営するカカクコムが3月にサイトを開設した。利用者はGPSで現在地周辺にある店をスマホで確認。店のセール情報やクーポン、電子チラシなど参考に買い物に訪れることができる。利用は無料。
現在はローソンや無印良品、酒類販売店チェーンのカクヤス、タワーレコード、ブランド品中古販売のコメ兵など全国の1万5000店の情報を掲載。今後、商業施設や地方のスーパーなども参加する予定だ。最近は来店時に「ミセトクを見た」と告げると記念品がもらえる限定イベントなどに取り組む店舗も増えている。
■登録場所通ると通知
情報共有アプリ運営のtab(東京・渋谷)は自分の行きたい場所や気になる店を保存するアプリ「tab」を提供。事前に登録しておくと近くを通った時に、スマホに通知される仕組みだ。GPS機能を利用しており、行きたいと思った場所を忘れずに気付くことができる。
従来は事前に自宅などで情報を調べてから小売店に向かう例が多かった。ただ、スマホを使えば、現在地の周辺にある店をその場で見つけやすくなる。ポイントやクーポンなどのお得な情報もゲーム感覚で獲得することができるようになってきている。
日本経済新聞 夕刊,2014/05/08,7面