カード+ネットで生活防衛――通販や旅行、還元率高く(M&I)
2014.04.21
消費税率が8%へと引き上げられ、家計への負担が重みを増したこの4月。買い物には欠かせないクレジットカードのポイント還元が、負担を和らげる一助となりそうだ。とりわけインターネットを使った消費や電子マネーの利用によって、割引などの特典がアップするカードが増えている。
クレジットカードの利用額のうち、キャッシュバックや商品券、ポイントなどでどの程度が還元されるかを示した数値が還元率だ。1000円の利用で10円分の戻りがあれば、還元率は1%になる。0・5%が平均とされており、1%を超えれば高還元率とされる。
最高水準の2%
業界で最も高い水準の還元率を持つカードの一つが、リクルートとJCBが昨年5月から発行する「リクルートカードプラス」だ。年会費2000円(税別)はかかるがポイントの還元率は2%に達する。さらに、リクルートが提供するインターネットサービスでの利用で還元率が上乗せされる。例えば、宿泊予約サービスの「じゃらん」で同カードを使えば還元率は2%上乗せされて4%になる。
リクルートカードプラスのもう一つのメリットは、電子マネーのチャージでもポイントがたまる点だ。nanacoとモバイルSuicaが対象となる。リクルートカードプラスには年会費がかからない代わりに還元率が1・2%となる通常のリクルートカードもある。年間約27万円以上カードを利用すれば年会費分の元を取れるので「プラス」の方がお買い得だ。
メリットが多いリクルートカードプラスだが、ポイントの使い道はリクルートが運営する宿泊予約サイトや通販サイトに限定されている。同社のサービスを頻繁に利用しない場合には注意が必要だが、今後はポイントの使い道が拡大される見込みという。
リクルートカードプラスのようにポイントとして還元された場合、ポイントがどのような形で利用できるか確認しておく必要がある。キャッシュバックなど使い道が限定されない還元方法を選ぶのも手だ。
三井住友カードが2月から発行を始めた「アマゾンマスターカード」は、たまったポイントをネット通販の「アマゾン」で使える商品券と交換できる。アマゾンのサイトでは書籍から家電、衣料品、食品など多くの商品が販売されており、利便性は高い。
発行を始めたのは初年度の年会費が無料の「アマゾンマスターカード クラシック」と、年会費1万円(税別)の「アマゾンマスターカード ゴールド」の2種類。「クラシック」では買い物100円ごとに、アマゾン内では15ポイント、それ以外の店舗では10ポイントを付与する。「ゴールド」はアマゾン利用で20ポイントが付く。2万5000ポイントためるごとに10ポイント1円換算でアマゾンでの買い物に利用できるギフト券に交換される。
「ゴールド」の還元率は2%とリクルートカードプラスに並ぶ。有料の速配サービスなどがある会員制度「アマゾンプライム」の各種特典も無料で使える。アマゾンを頻繁に利用する人にとってはメリットが多いカードといえそうだ。
商品券や利用先が限られているポイントではなく、キャッシュバックでの高い還元率で訴求するのが三菱UFJニコスの「ビアソカード」だ。通常の還元率は0・5%と平均的だが、同社の専用サイト「ビアソ eショップ」を経由して買い物をすれば、還元率が0・5%から最大10%上乗せされる。例えば上乗せ還元率1%の楽天市場で買い物をすれば、1・5%分のポイントを獲得できる。「年会費が無料のカードとしては1・5%の還元率は珍しい」(同社)という。
たまったポイントが1000ポイント以上あれば、1ポイント1円換算で年に1回自動で口座に現金が振り込まれる。還元率が上乗せされるオンラインショップにはアマゾンやヤフー、百貨店のサイトなどもあり、幅広く利用できる。
買い物代1%割引
実店舗でもネット通販のカード特典に対抗する動きはある。ポイント還元やキャッシュバックではなく、買い物代金を直接割り引くのが西友とクレディセゾンが出す「ウォルマートカード セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード」だ。入会金や年会費は無料で、西友の買い物時にいつでも1%の割引が受けられる。毎月5日と20日には割引率が5%に高まる。消費増税に合わせ、5月末までは通常の割引率を3%にするキャンペーンを実施している。
日本には数千種類のクレジットカードが流通しているといわれている。カードを選ぶ際の基準は何か。ファイナンシャルプランナーの宮崎勝己氏は「自分がお金を多く使う場所でポイントがたまるカードを選ぶべきだ」と話す。頻繁に利用するネットショッピングのサイトや公共交通機関など、自然とポイントがたまるようになるという。ただし使いすぎには要注意。賢く計画的な利用で、消費増税を乗り切りたい。
日本経済新聞 朝刊,2014/04/16,21面