■ニュース拡大鏡/ガソリン販促へ広がるサービス
個人顧客向けガソリン販売に変化が表れている。石油元売り各社はガソリンカード会員を増やすだけでなく、販売量などに応じて異業種間で使える共通ポイントを付与するなど、顧客の利便性を図ることで1人当たりの給油回数と給油量を増やすことに力を入れている。ガソリン需要期のゴールデンウイークを前に、元売り各社はキャンペーンを行うなどガソリン販促に必死だ。(大塚久美)
【他業種と連携】
元売り各社は年会費無料のガソリンカードを発行するなど顧客の囲い込みを図ってきた。最近はより利便性が高く、付加価値が付いたサービスを提供する方向にある。
新日本石油はCDレンタルなどを展開するツタヤの「ツタヤTポイントカード」と提携している。利用者は燃料油の購入分につきポイントが付与され、たまったポイントを全国3万店舗の提携店で利用できる。
昭和シェル石油は3月に大手コンビニのローソンなどとともに共通ポイントカード「ポンタ(Ponta)カード」に参加し、新日石に対抗する。異業種間で通用する共通ポイント提携を進めることで、両社とも個人向け燃料油の販売増大を狙う。
【クレジット機能】
そもそも、石油元売り業界はカードに着目して商売を始めた元祖だ。元売り各社はガソリンが高級品だった1960年代に顧客カードを独自につくり、主に法人向けに掛け売りを始めた。精算処理は今も元売りが代行し、クレジット会社の機能も果たしている。
ジャパンエナジーのJOMOカード会員数は、クレジット機能付きと年会費無料のカード会員も合わせ約122万人。とくに「クレジットカードの会員は1回当たりの給油量が多い」(長谷川晶弘リテール部次長)ことから、5月9日まで既存会員向けキャンペーンを行い、販売数量の底上げを狙う。
新日石と新日鉱ホールディングスの経営統合に伴い、JOMOは7月1日以降にエネオスブランドに統合される。5月中旬にも双方の給油所(SS)を利用した場合、双方のカード特典が継続・付与・認証できるよう統合試験を行う予定だ。
【ワンストップ】
一方、コスモ石油のコスモ・ザ・カード会員数は、クレジット機能付きと年会費無料カード会員を合わせて約350万人。同社のガソリン販売のうち3分の1はカード会員が占めることから、カーケア商品の品ぞろえを増やし、給油のついでにいろいろと購入できるよう利便性を高める。また、車検や保険、メンテナンスなど「車周りすべてをSSでワンストップで行えるよう商品化し、カーライフの総取り化を進める」(森山幸二販売サポート部長)戦略も描く。
SSの経営は燃料油だけ販売していればよい時代ではなくなった。扱う商品やサービスの間口を広げ、さらにはSS利用の付加価値を高めるなど、元売り各社は各SSの収益増につながるよう後方支援に余念がない。
(参照元:2010年4月30日 日刊工業新聞 8ページ)