HOME > エムズレポート > 【コラム】<エムズの眼 第2回>生活者発想のCRMに見直せ
■1.消費者=生活者優位のもとで必須化するCRM的発想

モノを売るのが以前より難しくなってきた原因として、生産者(供給)サイドに対して消費者が相対的に強くなったということがよくあげられます。
その最大の要因が、世界的潮流としての、金融の自由化、経済のグローバル化、IT(情報技術)革命の三つにあることは各所で言われています。
要するに供給サイドの差別化・差異化が容易ならざる世界になってきたということです。
そして国内を見渡せば、折からのデフレ不況と少子化(パイの減少)です。その厳しい条件下にあって、どこの企業も悩みは同じ、「売上(ひいては利益)を伸ばしたい」というただ一事なのです。
売上を伸ばすということはモノを売りたいということです。しかしながら消費者の財布の紐の固さに比べ、モノ買いの選択肢は広く、また心変りも激しい。
更に供給サイドの差別化競争が輪をかけ、負のスパイラル化していく。

時代は、供給サイドに対し、消費者=生活者の圧倒的優位のもとにあります。
そこに従来の「プロダクト・アウト」の思考法での商品や売り方が適うはずがない、とちょっとでも真面目に現状を見つめてみればそう考えざるを得ないのではないでしょうか。
圧倒的顧客優位の状況下において顧客視点の基本であるCRM的発想や手法は必須である、このことを、何とか現状を打破したいと考えている企業経営者、顧客戦略の担当者は徐々に気づき始めています。

一方、多くの企業は生活者と関係性を持つことの真の意味をまだまだ見損なっている。いいモノは売れるという、その「いい」がひたすら品質やサービス手法に関することだと思い込んでいる。
そもそも今日の生活者は必要なモノ以外は買わないという前提にあることを真に理解しているのでしょうか。
だからこそ、顧客会員制サービスをコアとした我々のCRMに対する考え方について、なお真剣にお伝えしたいと思うのです。

■2.生活者は企業の何にメリットを感じて会員になるか

ところで、顧客会員制サービスを導入するとはどういうことだと捉えられているのでしょうか。
確実にモノを売るため、会員制により顧客を「囲い込み」たい。セグメント化し、優良顧客を割り出し、効率的なコスト配分により利益も確保したい。
更に、データから生活者のニーズを探り、新規に売上増進もはかりたい。メーカー、流通問わず、大体こんなところではないでしょうか。
しかしながら、これは全くの企業側の都合で、生活者の側は預かり知らぬ話で、そもそも企業に「囲い込」まれたいなどとは思っていません。
そう思った瞬間に生活者はその企業から離れていきます。そして、何よりもまず何らかのメリットがなければ、生活者はその企業の会員になりたいとは思わない。

では、そのメリットというのは、ポイントカードのインセンティブのようなものなのでしょうか。インセンティブの競争も苛烈です。
多大なインフラを必要とするポイントカードの還元コストで利益を圧迫されるぐらいなら、値引きクーポン付きのチラシによった方が、対象が新規を含むマスですから、一過性的には効率が良い。
利益を確保したいと思って導入するものが低効率では埒があきません。埒があかないからといってチラシのままではプロダクト・アウトの価格競争からいつまでたっても抜け出せない。
それでは、一体生活者に何をメリットと感じさせ、この企業の会員にすればよいのでしょうか。
しかしながら、これは、一体どうやってこの企業の(で)モノを買わせるのかということと、実は同じことを聞いているのです。
しかしこれではトートロジーに陥ってしまう。モノを買わせたいから会員にするのですから。(つづく)

(この続きは8月16日に掲載予定です)