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地域ポイント導入支援、大日本印刷、自治体向けシステム、決済用スマホ提供、管理や運用も。

2016.03.07

 大日本印刷は7月から自治体向けに地域ポイントシステムの導入支援サービスを始める。決済用のスマートフォン(スマホ)を提供するほか、地域住民がためたり使ったりしたポイントの管理や運用を請け負う。スマホを活用することで、専用の決済端末を使う場合に比べコストを半分程度に抑えられる。2016年度からの5年間で関連事業を含め累計40億円の売り上げを目指す。
 地域ポイントは市町村など限定した地域内で発行され、地域住民はためたポイントを商店街などでの買い物に利用できる仮想通貨。地域活性化に取り組む自治体が導入する例が増えている。大日本印刷は地域情報ポータルサイトを運営するフューチャーリンクネットワーク(千葉県船橋市)と組み、支援サービスを提供する。
 大日本印刷は地域ポイントや通貨の決済用スマホと、決済情報を管理するクラウド型システムを提供する。決済用スマホは基本ソフト(OS)に米グーグルの「アンドロイド」を搭載。スマホの設定や導入後の運用・保守は大日本印刷が一括で手がけるため、店側の負担は少なくて済む。
 地域住民は地域ポイントや通貨の決済に「FeliCaポケット」という機能を搭載したICカードを使う。FeliCaポケットは1枚のカードで複数のポイントをためられる特徴があり、複数の自治体や地域で連携しやすい。
 フューチャーリンクネットワークは運営事務局を担うほか、お店の基本データやキャンペーン情報などを伝えるポータルサイトを運営する。すでに同社は1月時点で、全国310の市区町村の地域情報ポータルサイトを運営している。
 導入コストは人口10万人程度の自治体で決済用スマホを約50台使う場合で、初年度に4000万円前後かかる見込み。主にフューチャーリンクネットワークが自治体に売り込み、初年度に5~10自治体の採用を目指す。
 今はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」や三菱商事系のロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)が運営する「Ponta(ポンタ)」といった共通ポイントが広く普及している。しかし、共通ポイントは業種や地域をまたいで使えるため、地域活性化を目指す自治体は参加しづらかった。
 地域ポイントや通貨であれば、限定されたエリアでしか使えないため、地域活性化につなげやすい。横浜市は「よこはまウオーキングポイント事業」を展開している。40歳以上の市民に歩数計を無料で配り、商店街などの店舗に置いた専用端末にのせるとポイントを付与している。
 
 
 日経産業新聞,2016/03/07,ページ:7