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JXエネ、吉田羊さん起用CM―電力事業の強い思い表現(広告戦略)

2016.03.01

 石油元売り国内最大手のJXエネルギーが4月に全面自由化される電力小売りに向けたテレビCMを始めた。人気女優の吉田羊さんを起用し、「意気地なし」という印象的なフレーズを使い視聴者に訴えかける=写真。従来はほのぼのとした内容が多かった同社のCMだが、1年ほど前からメッセージ性の強い内容に転換している。
 夜、車中で男性がふいに電力小売りが自由化される話題を振ると、吉田さん演じる女性が「変えるの?」と問いかける。男性が「ちょっと様子みようと思って」と態度を決めかねると、女性が矢継ぎ早に「意気地なし」と6回も投げかける。
 CMはJXエネが一般家庭向け「ENEOSでんき」の予約販売を始めた1月15日から放映している。広報部の松下公美子氏は「吉田さんに世間が持つイメージを生かしながら、当社の電力事業について知ってもらいたかった」と話す。電力販売する首都圏のテレビ局で放映し、自由化後の4月以降は別バージョンも流す予定だ。
 JXエネでは電力自由化に向けたPR活動を綿密に計画してきた。約1年前のCMでは、すでに自由化されている産業向けの電力事業での実績を紹介。吉田さんは女性キャスター役として事業内容を伝えている。今回のCMの女性とは別人物の設定だが、「共に強い女性のイメージで統一感を出した」(松下氏)。
 JXエネでは吉田さんの起用を始めた1年前から広告宣伝の戦略を刷新した。以前のCMでは女優の能年玲奈さんがJXエネのマスコットキャラクターと一緒に全国の事業所を回った。企業イメージに重点を置いたほのぼのとした内容だった。松下氏は新たなCM戦略について「強い思いを持って当社が事業をしていることを訴えたい」と話す。
 電力事業では参入企業は生活に欠かせない電気を長期間にわたり安定供給する責任を負うため、安さに加えて消費者の信頼が重要となる。JXエネは100%近い認知度を持つ「ENEOS」ブランドを持ち、全国で長年、石油製品を販売してきた実績が電力事業の武器となる。そこに強いメッセージで消費者の背中を押したい考えだ。
 JXエネは電力のほかにもガス、水素など他のエネルギー事業に積極的に参入してきた。CMを通じ、総合エネルギー企業として認知度を高めていく考えだ。
 
 
 日経産業新聞,2016/02/25,ページ:17