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電力小売り自由化(1)異業種参入、ポイント交換(よくわかる)

2016.02.22

 4月に電力小売りが全面自由化される。毎日使う電気はこれまで東京電力や関西電力など電力大手からしか買えなかったが、ガスや携帯電話など異業種も販売できるようになる。今回自由化される電力市場は全国で8兆円超と巨大で、参入企業は約170社に上る。
 企業や工場など電力使用量の多い場所ではすでに電力の購入先を選べるようになっている。4月以降は家庭向けの販売も自由化される。消費者は料金や特典、生活様式にあったサービスを比べながら購入先を選べる。
 電力販売の参入企業は一般に「新電力」と呼ばれる。工場など大口需要家に電力を販売している新電力は自前の発電設備を持つ例が多く、既存の電力会社よりも割安な料金を設定する。今回は電力販売の経験がない企業も参入しており、家庭向けにこれまでなかったサービスを打ち出す。
 そのひとつが「セット割」だ。東京ガスは都市ガスと電気をセットで契約すれば年間3000円を値引きする。インターネット契約も組み合わせれば、合計で年間2万円以上安くなるプランもある。東電と提携するソフトバンクは電気使用量が多ければ現行の電気料金より割安になり、月間使用量が300キロワット時より少なければ携帯のデータ使用容量を還元する。
 充実したポイントサービスも特徴だ。電気代の支払いでためたポイントを「Tポイント」など各種サービスのポイントと交換できるようにする例が多い。電気代でためたポイントを普段の買い物にも使えるようにする。
 新電力対策で中部電力はためたポイントを電気代の支払いに使えるサービスを始め、中国電力は小売店や銀行、広島東洋カープと連携してポイントがたまるようにする。関電や東北電力、四国電力、九州電力は時間帯によって料金が異なるプランを新設し、北陸電力は節電に協力すると割り引くプランを用意した。
 電力大手が地域外で販売する動きもある。中部電は首都圏で電力小売りを開始。使用量の多い世帯では東電の従来プランと比べ5%安くなることもある。東電もソフトバンクと連携しながら関西や中部で販売を始める。
 もっとも、電気使用量が比較的少ないと現行プランの方が得な場合もある。参入企業や新しいプランが多く、自分の家にあったプランを見つけにくい面もある。カカクコムやエネチェンジなど料金比較サイトのほか、電話や店頭の相談窓口を利用しながらプランを吟味することも必要だろう。
 
 
 日経産業新聞,2016/02/16,ページ:2