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共通ポイントサービス(1)発行額1兆円へ5陣営競う(よくわかる)

2016.12.22

  業種をまたいで利用できる共通ポイントサービスの競争が日本で激しくなっている。2014年以降に3つの有力サービスが加わり、大きく5つの陣営がそろった。
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のTポイント・ジャパン(東京・渋谷)が手がける「Tポイント」が03年に他の業種で使えるようにした後、三菱商事系のロイヤリティマーケティング(同)の「Ponta(ポンタ)」が10年に共通化を始めた。
 14年に楽天が「楽天スーパーポイント」のカードを発行してグループ外の店舗で使えるようにし、15年にNTTドコモが「dポイント」、16年6月にはイオンが「WAON(ワオン)ポイント」をそれぞれ始めた。
 ポイントは購買額に応じて消費者に与え、その分を後で支払いに充てられる。共通ポイントは様々な業種の店で使えるため、消費者には便利だ。加盟した企業は消費者の囲い込みに使えるうえ、ポイントの管理システムを運用せずに済む。加盟企業はポイントに応じた手数料などを共通ポイントサービスの運営会社に払う。
 利用額に応じて付与され、後から購買に使える点では航空会社のマイレージサービスも同じ。野村総合研究所によると、国内の11の業界の主要企業が発行するポイントとマイレージの発行額は15年度に8720億円だったようで、22年度は1兆967億円と予測する。共通ポイントを利用する人が増えることが理由の一つだ。
 商品の販路が実店舗からインターネットに広がったことも共通ポイントサービスへの参入を増やしている。ヤフーは13年7月に自社のポイントサービスをTポイントに統合した。これが楽天を刺激した面もあるようだ。
 勢力争いが活発になるにつれ、一つの共通ポイントサービスの加盟企業は「1業種に1社」の暗黙の原則が崩れ始めている。ポンタに加盟していたローソンはdポイントも使えるようにした。
 共通ポイントの利点に、購買データを販売促進や商品開発に生かせることがある。データの使用条件は各サービスやデータの利用範囲・形態などによって様々のようだ。
 1つの店で複数の共通ポイントが使えると購買データが分散する。共通ポイントの草分けであるCCCの増田宗昭社長は「データが分散すると共通ポイントの魅力が薄れる」と指摘する。(山端宏実)
 

日経産業新聞,2016/12/22,ページ:2