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新電力最大手エネット、道内販売強化、事業者向け、NTT系に委託、首都圏競争激化、需要見込む。

2016.11.28

 新電力最大手のエネット(東京・港)は北海道内での営業活動を本格化する。札幌市に本社を置くNTT系企業が電力の販売を担当する。北海道電力の電気料金値下げにつながる泊原子力発電所(泊村)の再稼働が遅れており、道内事業者に電力調達先を新電力に移す動きが広がると判断した。首都圏では料金競争が激化しており、新たな需要が見込める北海道で営業体制を整える。

 エネットはNTTファシリティーズと東京ガス、大阪ガスが共同出資する新電力最大手。首都圏などで大型電源を確保しており、新電力全体の3割ほどのシェアを占めている。

 営業強化にあたっては、道内でコールセンター事業を展開するNTTソルコ&北海道テレマート(札幌市)に業務を委託。10月から同社の2人の担当者が専従でエネットの電力販売にあたっている。4月から新たに自由化された家庭用の電力小売りには参入しない。

 エネットは道内では、オフィスビルや公共施設の入札を中心に電力を販売してきた。これまでのオフィスビルの顧客は東京に本拠を置く企業が多く、東京での営業も可能だった。

 ただ、電力自由化の範囲拡大後、参入業者の増加で首都圏の顧客獲得競争は激しくなっている。北電は2012年の泊原発の運転停止以降、電力料金を2回値上げ。全国的にも割高な水準になっており、北海道でさらに販路拡大の道を探ることを決めた。

 体制拡大により、17年度中をメドに道内での販売電力を10万キロワットまで高める。主にスキー場や学校、1次産業系の施設など季節によって電力使用量が大幅に変わる拠点を新たな需要として開拓する。電気使用量の季節の繁閑差が大きいこうした施設は、繁忙期に合わせて基本料金が高めに設定されており、北電と比べて値下げの余地が多いためだ。

 すでに道内では電力調達先をエネットに切り替える動きも出ている。札幌ばんけい(札幌市)が運営するさっぽろばんけいスキー場(同)は17年1月からリフトやナイター照明、飲食拠点などで使う電力の購入先を北電から転換する。年間の電気料金は540万円引き下がるという。函館市電も今年4月から、最安値で契約を落札したエネットから電力を調達している。
 

 日本経済新聞 地方経済面 北海道,2016/11/23,ページ:1