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航空マイル使いやすく――1マイル単位で交換、共通ポイントと連携(M&I)

2016.09.26

 秋の行楽シーズン、飛行機に乗って旅行する人もいるだろう。飛行機に乗るとたまるマイレージ(マイル)は、無料で航空券と交換できることなどから人気が根強い。マイルを巡っては大手航空会社が少数マイルの使い道を広げたり、新興航空会社も買い物だけでマイルがたまるクレジットカードを発行したりする動きが出てきた。お得にためる方法など、最新のマイル事情をまとめた。
 「無料で飛行機を利用して家族で旅行できる」。東京都在住の会社員の男性(40)は家族5人で年2回ほど、マイルを特典航空券に換えて国内旅行する。
 男性が年間にためるマイル数は約30万マイル。利用額に応じてマイルがたまるクレジットカードで日常的に買い物をするほか、電子マネーやコンビニエンスストアなどのポイントをマイルに交換しているという。
 マイルは航空会社が自社の利用を促すために設けている“ポイント制度”。搭乗ごとに区間マイルを獲得できるのが基本だ。ためたマイルは「特典航空券」に無料で交換できるほか、購入した座席のアップグレードに使える場合もある。
通販支払いにも
 全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)のマイルは電子マネーや共通ポイントにも交換でき、その場合1マイル=1円相当が基本。特典航空券なら搭乗区間や座席、時期にもよるが「1マイルが10円以上の価値になることもある」(ANA)。
 ただ、これまでマイルは必ずしも使い勝手のいい制度ではなかった。例えば国内線の特典航空券と換える場合、ANAとJALなら最低でも5000マイルが必要だ。電子マネーや共通ポイントへの交換も1万マイル程度からが一般的だ。
 頻繁に利用する人でないと搭乗だけで多くのマイルをためるのは至難の業。特典を享受できないまま有効期限が過ぎてしまうことも少なくなかった。大手航空会社では、サービス改善の動きが出てきている。
 ANAは2月から、自社の通販サイトで支払いに使える「ANAショッピングポイント」に1マイルから交換できるようにした。従来は1万マイルからだった。昨年2月からは自社サイトで航空券などの購入に使える「ANA SKY コイン」にも1マイル単位で交換できるようにしている。
 JALは共通ポイント「Pontaポイント」と連携を強化。今年4月から飛行機に搭乗した際、マイルかPontaポイントか選べる制度を導入した。インターネットの専用ページで会員番号を登録するだけで利用できる。Pontaポイントなら1ポイントから使えるので、無駄にせずにすむ。
 搭乗しなくてもマイルをためたいなら電子マネーを使ったり、共通ポイントを交換したりする方法がある。楽天EdyやWAONは航空会社のマイルを直接ためられる。
 その際、マイルをためたい航空会社によって日常の買い物も工夫したい。ポイント情報サイト、ポイ探(東京・中央)の菊地崇仁代表は「電子マネーや共通ポイントはANAかJALの陣営に分かれていることが多い」と話す。例えば共通ポイントではTポイントと楽天スーパーポイントがANA、PontaポイントとdポイントがJALだ。
有効期限に注意
 航空会社が発行するクレジットカードで支払いをしてためる手もある。大手航空会社の一般カードは利用額200円ごとに1マイル相当が付与される。水道光熱費や通信費など固定費の支払いにも充てれば、効率的にマイルをためられそうだ。
 新興航空会社もマイルのたまるクレジットカードを相次いで発行している。
 AIRDO(札幌市)は3月、自社サイトで航空券を購入した際などに「AIRDOポイント」がたまるクレジットカードを発行した。ソラシドエア(宮崎市)は15年12月に「ソラシドエアカード」を発行。今年10月からはカード会員専用の割引運賃も導入する。
 他のポイントと同様、マイルにも有効期限があり、せっかくためても期限を越えてしまうと使えない。また、特典航空券に換える際は時期にも注意が必要だ。年末年始などの混雑期は特典航空券を利用できなかったり予約しにくかったりする場合がある。
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/09/24,ページ:20