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楽天、飲食・小売店でスマホ決済、専用端末不要、ポイント利用もOK。

2016.08.29

 楽天はスマートフォン(スマホ)を使い中小の飲食店や小売店などで簡単に支払いができるサービスを今秋に始める。利用者はスマホに表示されるバーコードを示すなどして決済する。店舗はアプリを使うだけで専用端末を導入しなくて済むため投資負担を軽減できる。同様の簡便な決済方法は中国で広がっているが、国内でも普及する可能性が出てきた。
 スマホを使った電子決済を国内のネット大手が手掛けるのは初めて。リクルートホールディングス子会社がスマホ決済対応のアプリを昨年末から提供しているが、まだ普及途上だ。中国では電子商取引大手アリババ集団の「支付宝(アリペイ)」が急速に拡大する一方、クレジットカードや電子マネーの利用が先行していた日本は遅れていた。
 楽天はスマホ決済の新サービス「楽天ペイ」のシステム導入受け付けを月内にも開始する。導入店は専用のアプリを取り込んだスマホかタブレットを使う。POSレジやクレジットカードなどの専用端末は不要。楽天は決済手数料の一部を受け取る。
 来店客は楽天の会員登録で設定したクレジットカードを使い決済する。自分のスマホにアプリを取り込み、画面上に表示される2次元バーコードを店舗のスマホやタブレットに読み取らせることで支払いを済ませる。
 バーコード以外に、店側が示した伝票番号や請求額を客が自分のスマホに入力し、送信するだけで支払える機能も備える。楽天の共通ポイントを支払いに充てられる。
 楽天は楽天銀行やカード、共通ポイントなどの楽天の金融サービスを導入する約100万店を中心にシステムの導入を呼びかける。飲食店が中心となる見通しで、クレジットカードや電子マネーの専用端末を導入することが難しい店舗を中心に開拓する。
 楽天はインターネット通販「楽天市場」や旅行サイト「楽天トラベル」など約70のネットサービスを展開。楽天のIDで1回以上サービスを利用した人は8000万人を超える。クレジットカードや共通ポイントカード、電子マネーといった金融サービスを手掛けており、スマホ決済を入り口にして様々なサービスを提供できると判断した。
 将来的にはこれらの金融サービスを一つのアプリで使えるようにする予定で、スマホを使った決済の利便性を高め普及を狙う。
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/08/27,ページ:13