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東ガス、販売店の力生かす、自由化向け戦略、秋メド策定、顧客争奪、東電などに対抗。

2016.08.08

 東京ガスは今秋メドに家庭向けなど都市ガス小売り自由化に向けた戦略を策定する。2017年4月に始まる顧客争奪戦に備え、強みのガス機器販売の営業力を軸に対策を練る。16年4月に始まった電力自由化では新電力最大の顧客数を獲得した一方、来春は本業で防戦体制を敷く。東京電力エナジーパートナー(EP)や日本瓦斯がガス小売りの準備を進めており、東ガスは対抗策を講じる。
 東京ガスの広瀬道明社長が日本経済新聞の取材に応じ「東電EPや日ガスへの対抗などが焦点だ。秋までに戦略を練りたい」と明らかにした。東ガスは大消費地の関東地方に約1100万件以上の顧客を持つ。新規参入企業との顧客争奪戦は必至だ。
 関東に200以上あるグループのガス器具販売店を中心に顧客を囲い込む方針だ。順調に電力契約を獲得できたのも各住戸への定期的なガス機器点検だった。ガス供給契約と電力契約、ガス機器や家電製品の販売、点検を組み合わせる。
 来春の自由化に合わせてガスの新料金メニューを作成するかについては「ニーズがあるかを含め今年中に検討したい」とした。すでに家庭用燃料電池「エネファーム」を保有する家庭向けなどで料金プランは複数用意している。ガスと電気のセット割引も今春から始めているため新メニューは今後詰める。
 また広瀬社長は「関東での電力販売とガス対応で手いっぱい」として関東以外の地域でガス販売を手掛けることについては否定した。
 来春の都市ガスの自由化を巡ってはLPガス大手の日本瓦斯が、都市ガスの卸供給元を東京ガスから東電(EP)に切り替えることを表明している。また東電EPもガス販売に参入するため顧客獲得競争は激化する。日ガスの和田真治社長は「最低でも1割安くしないと顧客は振り向いてくれない」と値下げする方針で、価格戦略や営業戦略などを軸とした競争が求められている。
 東ガスは4月に家庭向け電力小売りに参入し、16年度の顧客獲得目標40万件をすでに達成した。53万件に上方修正するなど電力販売は堅調だが、都市ガス自由化に備える必要もある。電力とガスを組み合わせた販売戦略が重要だ。
 
 日経産業新聞,2016/08/02,ページ:11