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第37回コンビニエンスストア調査―価格政策、ポイント包囲網競う、提携拡大、より便利に。

2016.08.01

 消費増税や将来への不安を背景に消費者の節約志向は強まっている。食品スーパーが値ごろ感を武器に攻勢をかける中、コンビニエンスストア各社はナショナルブランド(NB)商品などで期間限定の値引きやクーポン割引を展開。ポイントサービスも強化し、集客につなげる。
 今回の調査では、NB商品を期間限定で値引きする頻度を増やしたと回答した企業は19社のうち6社で、2016年度に増やすという企業は4社だった。購買意欲を刺激するため、割引クーポンなどを配布して誘客する企業が増えている。
 ファミリーマートでは定期的に様々な商品で割引セールを実施。菓子や飲料などのカテゴリーごとに、期間限定で「お買い得セール」を展開している。
 ポイントサービスなどの得意客向けのサービスを15年度に増やしたという企業は11社だった。16年度に増やすと回答した企業も7社あった。
 ローソンは昨年11月、電子マネー「おさいふポンタ」を発行した。信販大手のJCBと提携し、コンビニだけでなくJCBの加盟店900万店で利用できる。ローソンの店頭などで無料でカードを配布し、全国の1万2000店で現金のチャージができる。
 ファミリーマートでは昨年6月末からカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の共通ポイントカード「Tカード」を電子マネーとして、全国の店舗で使えるようにした。既存のTカードに現金をチャージして電子マネーの「Tマネー」で支払うと、通常ポイントのほか利用額500円ごとに1ポイントを追加で得ることができる。
 セブンイレブンは電子マネー「nanaco(ナナコ)」のさらなる普及を進める。昨年10月からは学習塾大手のワオ・コーポレーション(大阪市)に導入し、通塾や契約更新の際にポイントを付与するなど消費者の利便性を高める。
 国内のコンビニ店舗数は既に5万店を超える。都市部を中心に年々飽和状態になっており、出店場所の確保は一段と厳しくなっている。賃金の上昇に伸び悩む中間層が価格の安いスーパーに流れる傾向は強まっており、顧客の奪い合いはコンビニ各社にとって必至だ。お得感を感じられる独自のポイントサービスを使いながら、消費者の囲い込みを目指す。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/07/27,ページ:3