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自販機をオンライン化、キリンビバレッジ――消費増税で自販機低迷、誘客へIoT活用。

2016.07.04

 自動販売機は飲料各社にとって有力な販売ルートだったが、徐々に比率は縮小している。飲料総研の調査によると、2009年には売り上げに占める割合は34%だったが、15年には29%にまで縮小した。原因は消費税率の引き上げだ。
 もともと自動販売機は定価での販売が中心。スーパーやコンビニは大幅に割安な価格で販売しているが、自販機には飲みたいと感じたその場ですぐに買える便利さがあるため、定価販売にも耐えることができた。だが14年4月の消費税率の引き上げ幅が3%だったにもかかわらず、価格は10円刻みでの引き上げだったことで消費者が強く割高感を持つようになった。
 各社は自販機のてこ入れに知恵を絞る。1つは自販機専用商品の開発だ。500ミリリットルのペットボトルの容量を1~2割増やし、お得感を出した商品などが出た。同じシリーズでも、自販機でしか買えないフレーバーの製品をつくってプレミアム感を出すといった取り組みがある。
 もう1つはあらゆるモノがネットにつながるIoTの活用だ。ダイドードリンコや日本コカ・コーラはスマホと連動したポイントカードを導入し、お得感と娯楽性を両立させている。キリンビバレッジも大型液晶画面を備えた自販機を空港などに設置し、商品を買うと無料通話アプリ「LINE」のスタンプがもらえるサービスも始めた。自販機を消費者とのコミュニケーションの場とすることで消費者の動向を的確につかみ、効率的に経営資源を配分できるようになる。(朝田賢治)
 
 
 日経産業新聞,2016/06/28,ページ:11