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コアテクノロジー・人工知能&ビッグデータ活用/ロイヤリティマーケティング

2016.06.13

 コンビニエンスストアをはじめ飲食店や航空会社など、業界の垣根を越えて広がりをみせる共通ポイントサービス。三菱商事グループで「ポンタ」を運営するロイヤリティマーケティング(LM、東京都渋谷区、長谷川剛社長)は、データ分析事業に力を注ぐ。会員データを基にしたグラフ作成やコンサルティングを通じ、加盟企業の経営効率化につなげる狙いだ。  
 ■消費動向を高精度解析
 ポンタは、LMが2010年にサービスをスタート。商社が直接出資する唯一の共同ポイントサービスとして加盟社を呼び込み、現在ローソンや日本ケンタッキー・フライド・チキン、日本航空(JAL)はじめ、ガソリンスタンドやスポーツクラブの運営会社など計83社、132ブランドと多岐にわたる。会員数は、10年の2000万人から現在は7547万人に上る。
 ただ、利用者を伸ばす中で、「ポイントを発行するだけでは、単なる値引きに過ぎない」(三菱商事の高木朋行リテイルサポート部マーケティングチームリーダー)という認識が広がってきた。
 そこで、自社で保有する会員データベースを有効活用し「(加盟社の)品ぞろえや販売促進に生かして、経営効率化につなげることが理想」(同)と考え、データ処理とコンサルティングを行う専門組織を12年に発足。顧客のマーケティング支援サービスを始めた。
 同サービスは、会員のポイント加算・利用履歴のデータを参照し、顧客の要望に応じたデータ分析やグラフ作成、コンサルティングを実施。顧客は解析されたデータなどを、販売促進活動の地域設定や店舗ごとの最適な商品構成、新商品開発に使い、それらの業務効率化に加え、「精度を上げられる」(同)メリットを得られる。
 15年には、データ分析会社のdmi(大阪市淀川区、内山敦司社長、06・6309・7110)を子会社化するとともに自社の専門組織も同社に移管した。dmiは予測精度の高いデータ分析技術が強み。両社のノウハウを融合することで、顧客に対して付加価値の高いサービスを提供できる体制を整えた。
 今後もサービス力を維持・向上するため、会員データベースをより充実することが求められる。そのため引き続きポイントサービスを通じて、会員数と加盟企業の取り込みに力を入れる方針だ。
 またLMは現在、インドネシアと台湾でもポイントサービスを展開しており、将来は分析サービスの海外展開も視野に入れる。
 企業によるデータ活用の動きが広がる中、加盟企業が保有するデータとも連携できれば、分析データの活用範囲がさらに広がる可能性もある。ただ、自社内での利用にとどまっている企業が多いことや個人情報保護法などの観点から、実践されていないのが現状だ。
 今後、法令改正などを通じ加盟企業も含めたデータ連携を進めて、データ分析市場の成長とともに日本企業の競争力向上につながることが期待される。
 
 
 日刊工業新聞,2016/06/06,ページ:5