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飲食業15年度ランキング、肉系ガッツリ成長、売上高伸び率1位「ペッパーフード」、椅子席導入、シニアも来店。

2016.05.30

 日経MJは第42回(2015年度)飲食業調査をまとめた。昨年から続く肉食ブームを背景に、肉料理関連の企業が急成長した。店舗売上高伸び率ランキングを見てもペッパーフードサービスやあさくま、鳥貴族が上位に並ぶ。ボリューム感と値ごろ感を打ち出し、幅広い客層を取り込んだ。一方、33年連続で売上高首位だった日本マクドナルドホールディングスは異物混入問題などで売り上げを落とし、2位に転落した。(店舗売上高ランキングの表と関連記事を2~5面、19面に)
 13年12月に新業態として「いきなり!ステーキ」を立ち上げ、あっという間に約80店まで増やしたペッパーフードサービス。顧客が求める量の肉を目の前でカットし、立ち食いで食べてもらうというスタイルの斬新さが受けて、年40店前後の大量出店が続いた。主力業態「ペッパーランチ」に代わってこの2年間、同社の成長エンジンの役割を担ってきた。
 肉ブームもあって、急成長を遂げたが、実はここまで一本調子で伸びてきたわけではない。一瀬邦夫社長が「9月ショック」と呼ぶ異変が昨年秋に起きた。「いきなり!ステーキ」の客数が落ちて売り上げ、利益ともに大幅に悪化したのだ。
 天候不順の影響もあったが「大量出店にこだわりすぎて、人材教育がおろそかになっていた」(一瀬社長)。早速、店長以下の一般社員も集めて肉のカット方法や接客技術などの基本を徹底させた。
 新規顧客を取り込むための施策も相次いで打った。その1つが一部店舗に取り入れた椅子席だ。浅草雷門店(東京・台東)もその1つ。5月平日の昼ごろに店を訪れると、若い男性会社員に混じり、シニアの客の姿が目立った。「月に2回は来るね。肉が大好きだから」。夫婦で訪れた75歳の男性客もこの店の常連だ。この日も300グラムもあるステーキとハンバーグの同店限定メニューを平らげた。
 立ち食いで来店客の回転率を上げて利益を確保するのが「いきなり!ステーキ」のビジネスモデル。回転率を下げそうな椅子席導入は矛盾して見えるが、出店拡大で若い男性客ばかりが大勢訪れる立地の店ばかりではなくなった。客数が都心店ほどではない店では積極的に椅子席を取り入れることでシニア客やファミリー客を取り込めれば、むしろ売り上げ拡大につながる。
 独自の電子マネー機能付きポイントサービス「肉マイレージカード」も新規顧客開拓につながっている。昨年末以降、カードのチャージ時のポイント3倍といったキャンペーンを打ち出すことで新たな客を呼び込めているという。
 一瀬社長は「新規顧客をとりこみ、常連客になってもらえるかが大事だ」と話す。同業態では3月に値上げを実施したが、客数は落ちずに増収を達成した。店作りの変更やポイントサービスを活用して新たな客を取り込み、確かな接客技術でリピーターになってもらうという戦術は今のところ成果を上げている。
 今期も「いきなり!ステーキ」は40店を出店する計画だ。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/05/25,ページ:1