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ファミマ、お得意様優遇、Tカード、ポイント還元アップ、商圏縮小、囲い込みに躍起。

2014.06.03

 ファミリーマートは7月、ポイント制度を刷新する。同社が発行する共通ポイントカード「ファミマTカード」の利用者を対象に月々の利用額に応じて還元率が高くなるサービスを始める。2014年度のコンビニエンスストアの出店数は過去最高になる見通し。1店あたりの商圏は年々縮んでおり、百貨店やスーパーが得意としてきた「お得意様」作りを狙う。
 月の購入額に応じて還元率を変える「ファミランク」を7月5日に始める。これまでは100円で1ポイント付与(クレジット決済は200円)してきたが、他社が発行した「Tポイントカード」を使う時も含めて一律200円で1ポイントに変更する。そのうえで月の購入額が1万5000円以上の顧客は200円で3ポイント、5000~1万4999円は2ポイントと優遇する。4999円以下の顧客は付与率が従来より低くなる。
 Tポイントの加盟企業が付与率を下げる例はあったが、利用額や回数に応じてポイントを優遇するのは運営主体のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「TSUTAYA(ツタヤ)」に次ぎ2例目という。
 コンビニのポイントでは電子マネー機能を持つセブン&アイ・ホールディングスの「nanaco(ナナコ)」の会員数が3千万人を突破した。Tカード全体の会員数は約5000万人いるが、ファミマは約540万人にとどまっていた。
 ファミマは刷新を機に今年度中に会員数を1千万人に引き上げる計画だ。18歳以上はクレジット機能付きのファミマTカードしか発行していなかったが、通常のカードの発行対象を全年齢に広げる。女性限定で付与率をあげる「レディースデー」も設ける考え。
 サークルKサンクスも5月に新しい会員組織「+K(プラスケイ)」を立ち上げた。商品情報が集まるサイトでゲームをしたり、交流サイト(SNS)のツイッターでつぶやいたりするとポイントにあたる「+Kコイン」を発行する。
 コンビニがお得意様づくりを急ぐ背景には商圏の縮小がある。都市部では半径500メートルが商圏といわれていたが「今は200メートル」(サークルKサンクス)。セブン&アイの村田紀敏社長は「顧客との『ラストワンハロン(約200メートル)』の距離が重要。我々の強みもそこにある」と指摘。各社が顧客の囲い込みにしのぎを削っている。
 
 
  日本経済新聞 朝刊,2014/05/27,11面