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VW日本法人、点検・整備でポイント、カード会員、年内に倍増、GPS活用アプリ、ロードサービスも、保守で囲い込み。

2014.09.18

 独フォルクスワーゲン(VW)日本法人は国内ユーザー向けに点検や整備を利用するとポイントがたまるカードサービスを充実する。今年度内にはスマートフォン(スマホ)向けアプリを投入し、全地球測位システム(GPS)を使ったロードサービス機能を搭載。ディーラーでの整備を促し、カード会員を年内に45万人に倍増する。
 VW車の国内での保有者は約65万人で、このうちVWのディーラー利用者は45万人程度。その全員にカード「フォルクスワーゲン・オーナーズ・パス」の保有を促す。同カードは2012年7月から始め、現在24万人が保有する。発行は無料で、クレジット機能は付いていない。
 今年度内にはスマホアプリをはじめサービスを拡充する。GPSを使い事故などの緊急時に止まった位置を即座にコールセンターに知らせたり、オペレーターが所有車の情報にアクセスして迅速なサービスを提供したりする。
 VW車を持つ全顧客がディーラーで点検や整備をするとポイントがたまる。例えば車検をすると2千ポイント、法定1年点検で1千ポイント、タイヤ交換で600ポイントが付与される。新車購入では付与されない。ためたポイントはオリジナルグッズなど各種景品と交換できる。
 正規ディーラーでのメンテナンスもインターネットで調べられる。次の整備の日程や新車情報、試乗会などのイベントもメールで早く知らせる。新車購入から3年間は24時間対応のロードサービスの証明書としても機能する。
 自動車販売会社では新車販売以上に中古車の売買や点検・修理などのアフターサービスが重要になっている。新車販売は売上高では6割以上を占めるが、粗利益では4割以下で、車検などの整備や部品販売などが半数近くを占める。各販売会社とも経営安定のため、新車以外の収益で固定費をどれだけカバーしているかを示す「バリューチェーンカバー率」の向上をめざしている。
 アフターサービスではディーラーよりも低価格で実施している整備業者が多く、競争は激しい。自動車販売各社は新車販売時に車検や法定点検などの3年間の整備を割安に販売する「メンテナンスパッケージ」で顧客を囲い込もうとしている。ポイント施策によりさらに長期で整備需要を取り込む。
 
 
  日経MJ(流通新聞),2014/09/15,5面