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ECを事業部にしないUA(日経デジタルマーケティング成功のヒミツ)

2014.01.15

 ユナイテッドアローズ(UA)は経営指針にチャレンジを掲げ「O2O(オンライン・ツー・オフライン)のリーディングカンパニーへのチャレンジ」を進めている。同社でO2Oを統括する事業支援本部本部長の佐川八洋上席執行役員は「O2Oを成功に導くにはEC(電子商取引)を事業部にしないことだ」と言い切る。ECを事業部にしてそこに収益責任を負わせると、店舗との間で売り上げや在庫の取り合いが始まるからだという。
 そのため同社のECサイトは会社全体の事業支援と位置付けている。収益責任はブランドごとの事業本部にあるとしている。顧客情報管理(CRM)など、デジタルマーケティング関連の部署もECと同様で、事業本部を横串にした施策が展開しやすくなる。それこそが「O2Oを実現する上で最適な組織」(佐川氏)とみている。
 同社がO2Oに注力する背景には、消費者の購買行動の変化がある。消費者は既にスマートフォン(スマホ)を使って、ネット上とリアル店舗を自由に行き来して買い物をしている。こうした購買行動を企業として手助けすることが、顧客価値の向上につながると判断したのだ。実際にECサイトと店舗で共通の会員IDを持つ顧客の購買情報を分析。その結果、店舗のみを利用する人より、店舗とECサイトを併用する人のほうが、店舗での年間平均購入金額が2.5倍多くなったという。O2Oにとって最適な組織を軸に、今後も店舗とネットを融合した消費者への利便性を追求していく方針だ。

日経MJ(流通新聞),2014/01/10,3面