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ポイント活用、年8万円得?――現金払い極力避ける、目標定め、カード絞る(電子版セレクション)

2013.11.30

 買い物をするたび金額に応じてたまり、別の買い物に使えるポイントサービス。幅広い業種の企業が参加し、ためたポイントを別の加盟店で使える「共通ポイント」が広がり、各陣営が利用者の囲い込みへさまざまなサービスを打ち出している。お得を逃さないよう賢く利用し「ポイント長者」をめざそう。
 共通ポイントのひとつ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」は4736万人の会員数を抱え、利用可能店舗は6万3000店に上る(10月末時点)。三菱商事系のロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)の「Ponta(ポンタ)」もそれぞれ5846万人、2万2500店(同)と普及してきた。

 
 どの店で使ってもたまる
 ともにカードの発行は原則無料で、加盟店で買い物の際に提示すると100~200円につき1ポイントがたまる。ポイントは別の加盟店でも1ポイント1円として買い物に利用できる。
 さらに、8740万人(9月時点)の会員を持つ楽天が、この2陣営に割って入る。2014年秋に「Rポイントカード」を発行し、インターネット通販で使っている「楽天スーパーポイント」が、実店舗でもためたり使ったりできるようになる。
 流通系も負けていない。セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco(ナナコ)」とイオンの「waon(ワオン)」は電子マネーだが、ポイントカードとしての顔も持ち、発行枚数はともに2500万を超える。
 どこでお金を使ってもポイントがたまる機会があるというのが、幅広い業種が参加する共通ポイントの時代の特徴だ。クレジットカードのポイントに至っては、クレジットカードで決済すればたまるので、支払いがすべてポイントに直結する。
 ポイントをたくさんためるには、ポイントがつく方法でたくさんお金を使うのがもっとも手っ取り早い。ポイント交換サイト「ポイント探検倶楽部」を運営するポイ探(東京・世田谷)の菊地崇仁代表は「現金払いでないといけないもの以外は、すべてクレジットカードか電子マネーで払うのが鉄則」と話す。
 まずすべきは「ポイントを何に使いたいかをはっきりさせること」。それに使えるポイントの中から、ためるものを絞り込んで決める。手広く集めようとすると、自分が持っているポイントを把握しきれず、使い切る前に有効期限が切れてしまうなどして効率が悪くなる。
 「ポイント探検倶楽部」では、自分が持っているポイントが何と交換できるか、逆にためたいポイントに交換できるのはどのポイントかを簡単に調べることができる。菊地氏によると、同サイトの利用者の年間獲得ポイントは平均で8万円分を超えるという。

 
 「還元率」に注目
 ゴールが決まったら、そのポイントがたまるクレジットカードや電子マネーを選ぶ。決め手はいくらの支払いに対してどれだけポイントがつくかを示す「還元率」だ。100円につき1ポイントで、1ポイント1円相当なら1%となる。1000円につき10ポイントも1%だが、この場合999円まではポイントがつかないため注意が必要だ。
 クレジットカードは種類が多く選ぶのは大変だが、ポイント還元率が1%を超えるものは少ない。その中でも、菊地氏が「ほとんど誰にでも薦められる」のは、還元率が1.75%と高くナナコへのチャージでもポイントがつく「漢方スタイルクラブカード」と、アプリをスマートフォンにダウンロードしておけば全国どこでもスイカにチャージできポイントもたまる「ビックカメラSuicaカード」の組み合わせだという。
 ポイントサービスの市場は年々拡大しており、野村総合研究所によると11年度のポイント・マイレージの発行額は少なくとも9770億円に上る。これは国内11業界の主要企業に限った数字で、実際には「おそらく1兆5000億円を超えている」(野村総研の冨田勝己上級コンサルタント)。意識的に活用すれば、家計の助けになりそうだ。

    日本経済新聞 朝刊,2013/11/24,12面