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調剤薬局大手クオール、処方薬にポイント付与、ローソン併設店で「ポンタ」、実質値引きに。

2013.11.01

調剤薬局大手のクオールは医療用医薬品(処方薬)を調剤窓口で販売する際に、購入額に応じてポイントを付与する。薬価(公定価格)が定められた薬の実質値引きにあたるポイントは厚生労働省令で規制されているが、ドラッグストアでは実施済み。薬局大手では初めてとみられ、店の集客力を高めるサービス競争が激しくなりそうだ。

 クオールは資本提携するローソンとの融合店「ローソン×クオール薬局」の全34店舗で、三菱商事系の「Ponta(ポンタ)」ポイントを付与し始めた。コンビニ融合店だけのサービスに限定し、調剤薬局単体の店舗では付与しない方針だ。

 処方薬の患者負担額の100円につき1ポイントを付ける。「1ポイント=1円」で、ローソン店舗の一般用医薬品(大衆薬)のほか食品や飲料、雑貨、雑誌などの支払いに使える。ポイントは処方薬の購入には使えないが、コンビニ以外でもPonta提携のスーパーや飲食店、家電量販店、ガソリンスタンド、旅行会社など様々な店舗で利用できる。

 すでに「マツモトキヨシ」などのドラッグ店では処方薬の販売にポイントを付けている。これまで調剤薬局チェーンはポイント付与を控えてきたが今回、調剤薬局チェーンの業界団体「日本保険薬局協会」の会長を輩出するクオールが一部店舗とはいえポイントサービスを始めたことで、調剤薬局チェーンにもポイント活用の動きが広がる可能性もある。

 医師の処方箋に基づく処方薬は厚労省が薬価を定め、保険によって国費が医療費の7割以上を負担している。厚労省はポイント付与は公定価格の実質値引きにあたるとして2012年10月から規制した。

 しかしクレジットカード会社が発行するポイントを禁止せず、店舗のポイント付与を認めないという規制は根拠に乏しく、ポイントで集客してきたドラッグストアは反発し付与を継続。規制導入後も事実上の黙認状態が1年以上続いている。

  日経MJ(流通新聞),2013/10/28,14面

担当者のコメント

 話題の「調剤ポイント」だが、とうとう調剤薬局チェーン「日本保険薬局協会」会長を輩出する調剤薬局クオールが、厚労省の方針を無視する形で導入することになった。しかも、ひっそりとでは到底なく、話題性抜群の「ポンタ」ポイント付与(ローソン×クオール薬局)という形で。
 ここまでの展開になると、多くのドラッグストアも黙ってはいないだろう。一挙に利益率の高い調剤顧客の開拓と囲い込み戦略として、新たなポイントプログラム展開を仕掛けてくるだろう。
 見逃せない状況となってきた。